アンタゴニスト法、 ショート法どちらが 自分に合ってる?

治療は進んでいくけれど、本当にそれが自分に合っ ている治療かわからない…。

そのような時はどんな ふうにドクターに聞くとよいのか、またどう気持ち を伝えればよいのかを、とくおかレディースクリ ニックの徳岡晋先生にお聞きしました。

徳岡 晋 先生 防衛医科大学校卒業。同校産婦人科学講座入局。 自衛隊中央病院産婦人科勤務後、防衛医科大学 校医学研究科に入学し、学位(医学博士)取得。 2005年、とくおかレディースクリニックを開設。
相談者:ハナコさん(31歳)Q. 31歳で2回目の採卵を控えています。1回目は ①アンタゴニスト法で12個採卵。すべて顕微授精し、 11個受精7個胚盤胞になりました。グレードがよ いほうから7回移植して、化学流産2回、流産、陰 性4回でした。  夫の転勤のため転院して、また採卵からです が、②アンタゴニスト法では結果が出ていないため、 ショート法で10個の採卵を目標に頑張ることにな りました。今日D7の診察で卵子が6個と言われて、 前回よりも少なくて落ち込みました。採卵はD14 ですが、 これから卵子の数が増えることはあるので しょうか? また、ショート法からアンタゴニスト 法に変更する人は多いようですが、逆に変えて結果 がよくなった人はいるのでしょうか?  助成金の関係で③今回を最後の採卵にしようと思っ ていました。私と夫が一人っ子で兄弟はつくってあ げたかったので、数が少ないことが余計にショック です。個人差があることや、量より質が大切なこと もわかるのですが、不安で仕方ありません。

①ショート法とアンタゴニスト法は 高~中刺激の排卵誘発法

 体外受精、顕微授精のための排卵誘発法 には、卵巣に負担の少ない低刺激のものか ら、一度に多くの卵子を採る目的の高刺激 のものまでいくつかの種類があります。ど の方法で誘発していくのかは、患者さんの 年齢や卵巣予備能、これまでの治療内容な どを考慮して、一人ひとりに合った方法を 選択していきます。
 ショート法、アンタゴニスト法は高~ 中刺激の刺激法で、どちらもHMGとFSH を定期的に注射して排卵誘発を行います。 ショート法はGnRHアゴニストという点鼻 薬を月経の時から使用して排卵を抑制し、 アンタゴニスト法は卵胞がある程度発育し てきたらアンタゴニスト製剤を注射するこ とで排卵のきっかけとなるLHサージをおさ え排卵を防止します。
 ショート法の場合、最初から点鼻薬で排卵 を抑制しているので、誘発の注射も毎日必要 になります。人によって注射の量が変わるこ とはそれほどありません。アンタゴニスト法 もそれほど注射が減らせるわけではありま せんが、卵子の成長の様子をみながら若干の 調整をすることはできます。

②どちらを選択するかは 医師と本人の相談で

前回の採卵で 11 個採れて 7 個胚 盤胞までいったのは、成績的には決 して悪くありません。妊娠まで至ら なかったのは、たまたま卵子の質が よくなかった、染色体異常のある卵 子だったのではないかと思います。

転院先の病院ではアンタゴニス ト法でうまくいかなかったので、 ショート法に変えてみることになっ たとのことですね。ハナコさんはま だお若いので、ショート法でも大丈 夫かとは思いますが、年齢が高く卵 巣予備能が低い方の場合は、点鼻薬 で排卵を抑制すると最初から卵子が 育たないこともあります。ショート 法では抑制がそれほど強くなるので す。もし私がハナコさんの担当医 だったら、前回は刺激法がよくな かったのではなくて、そのサイクル にいい卵子が少なかっただけではな いかと考え、もう 1 回アンタゴニ スト法でいくことをご提案すると思 います。卵子を育てながら排卵を抑 制する方法の進化系がアンタゴニス ト法だろうと私は考えています。た だ、方法を変えれば質の違う卵子が できるということもあります。だか らショート法に変えたことも間違い ではないと思います。

③希望はできるだけ 伝えておきましょう

ハナコさんは「これが最後の採卵」 と決めていらしたとのこと。それはド クターに伝えておいたほうがよかっ たと思います。ドクターには最後なの で患者さんのリクエストを聞いてあげ たいという思いと、医師としても最後 だったらこうしようという考えがある はずだからです。「ショート法にした ら卵子の質は変わるかもしれないけれ ど数は減る可能性がありますよ。どち らでやってみたいですか」と相談がで きたと思います。

  D 7で卵子が 6 個見えたということ ですが、これからうまく育てば増える こともありますし、逆に減ることもあ ります。前回のアンタゴニスト法より 少ないのは、ショート法で抑制が強 くかかっているからかもしれません。 ショート法が得意で、注射を増やした りして調整するドクターもいます。ド クターがどのくらい卵子を求めて育て ていくのかにもよりますね。

これから移植の方法をどうするか 決めていくことになると思います。 自然周期より薬を使って内膜をつく るホルモン補充周期で移植すること が多いですが、もしご希望がある場 合はよく相談して決めていただけれ ばと思います。

ドクター以外の スタッフにも質問を

「聞きたいことは山ほどあるけ ど、ドクターにはすべてを聞くことができない」と感じている人は多いのではないでしょうか。「こんなことを聞いていいのかしら」「先生お忙しそう…」と質問することを躊躇してしまうこともあると思います。

そんな時には、ドクター以外のスタッフ、たとえばカウンセラーや看護師、受付スタッフなどに質問してみましょう。

「体外受精コーディネーターや看護師などと話す時間をもつのは有効ですよ」と徳岡先生はおっしゃいます。実際、とくおかレディースクリニックでは、治療の結果がうまくいかなかった時は、患者さんとチーフナースが話す時間を設けるそう。ドクターと話すよりも質問の垣根が下がり、本音で聞きたいことを聞ける機会になっているようです。そこで次回の治療の希望を伝える患者さんもいるのだそう。

「話しやすいスタッフを見つけて、気軽に質問したり、要望、思いを伝えるようにするといいですね。医師はできるだけ患者さんの意向や考えを尊重したいと思っているはずです。話していただいたほうが治療もスムーズに進んでいくと思いますよ」

ドクターにはこう聞いてみよう!

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美容院で「この髪形にしてください」とお願いするように はいきません。不妊治療は卵巣予備能や症状、治療歴など 多くの情報を取り込んで、患者さん一人ひとりに適した治 療を考えるからです。でも希望を伝えることはとても大切 です。その治療について質問することから始めましょう。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。