Q 初めてのロング法。 「数値が低い?」と不安です
まはるさん(36歳)からの相談 Q.不妊治療3年目、PCOSで今までタイミング、ゴナール エフ・レトロゾールを使ってのAIHを5回行いましたが陽 性反応がなく、ピックアップ障害も疑われることから思い 切って IVFへステップアップすることにしました。生理周期 は37~40日で、採卵周期前にD24よりプラノバールⓇ を14日服用し、その後6日目にリセットとなりました。今 回は誘発法がロング法なので、リセット前、9日前より点鼻 薬ブセレキュアⓇを1日4回使用しています。昨日、D2に 採卵周期に入れるかの確認のため診察してもらいましたが、 採血・内診の結果の説明はなく、自己注射のゴナールエフⓇ のみ処方されました。E2:10.4pg/ml、FSH:2.6mIU/ ml、LH:3.6だったのですが、帰宅後ネットで調べるとど れも低い数値に感じます。この数値で問題ないでしょうか?
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質問者のまはるさんは、現在体外受精に向 けてロング法で採卵準備をなさっています。
途中の段階ですが、ホルモンの値が「ずいぶん低い数値」と感じ、心配されていますが、問題はありますか。
佐藤先生 まずは、ロング法を理解する必要があると思います。ロング法は調節卵巣刺激法の一つで、体外受精において治療の成功率を高めるため、卵胞の発育を見ながら排卵誘発剤を計画的に使用し、採卵をベ ストな状態で行う方法です。具体的な方法としては、月経前周期の高温期中期から、排卵をセーブするGnRHアゴニスト製剤を毎日点鼻し続けていきます。さらに月経開始後に排卵誘発剤を注射して、排卵をコントロールしつつ、採卵するタイミングを合わせていきます。
つまり、薬を使って一時期は自身の性ホルモンの分泌を抑え、採卵のタイミングを見計らって誘発剤で排卵を促すという方法で、人為的にホルモンをコントロールして いるのです。プラノバールⓇは黄体・卵胞ホルモン配合剤で、服用すると「女性ホルモンがすでにたくさんある」と認識した脳は、LH・FSHの分泌を抑制するように働き ます。ブセレキュアⓇにも性ホルモンの分泌 を抑え、卵巣機能を抑える働きがあります。
したがって、月経後E2の値も当然低くなり ます。E2値が低いのはそれを低くすることを目的としているので、「コントロールがうまくいっている」と考えるべきで、何ら心配はありません。
調節卵巣刺激法にはロング法のほかに ショート法もありますが、どちらの方法を用いるかはどのように決めるのですか。
佐藤先生 ショート法はその名の通り短期間に、自身の性ホルモンも高めて刺激しま す。ブセレキュアⓇには、使い始めは性ホルモンの分泌を促し、長期で使用すると性ホルモンを抑制するという働きがあるのです。 一般的には、ロング法は比較的若い方に、ショート法は 35 歳以上、または一度にたく さん採卵されたい方や卵巣の反応が鈍い方に適しているとする向きもあるようです。ただ担当医の考え方にもよるので一概には言い切れませんし、どちらが優れているというわけでもありません。まはるさんの場合は生理周期が 37 ~ 40 日と長いこと、PCOSもあることから、一度性ホルモンを抑えるロング法が適していると考えられたのかもしれません。
質問者のまはるさんに、ほかにアドバイス があればお願いします。
佐藤先生 ジネコの読者さんに言ってよいものかわからないけれど(笑)、ネットや雑誌などの情報に振り回されないでほしい。
「ネットで調べたら数値が低い」って、誰の、いつの時点での数値なのかも不確かですし、その数値の方とまはるさんは同じ原因で不妊とは限らないし、それぞれに適した治療をしているはずなのですから、他人と比べないこと。ぜひ担当医とよい関係を築きながら、治療を続けてください。