Q 最後の採卵。副作用を覚悟して ショート法に臨むべき?
ドクターアドバイス
今回実施した排卵誘発法の選択は正し かったのでしょうか。
あと1回だとしたら、どの誘発法が望ま しいと思われますか?
伊藤先生 飲み薬のクロミッドⓇにHMGなどの注射を併用するマイルド法は、クロ ミッドⓇ単独より採卵数が多く(2~7個程度)、文献によると刺激あたりの妊娠率は 10 %前後といわれています。
悪くはないと思いますが、採卵が残り1回でもっと妊娠率を上げたいということでしたら、できれば8~ 10 個程度卵子を確 保するのが理想的ですね。そうなると排卵誘発法はアゴニストを使うロング法かショート法になるでしょう。アンタゴニスト法でもいいと思いますが、ロング法やショート法と比べると費用が高くなってしまいます。
アゴニストを使う高刺激法は採れる卵子の数が多いので、妊娠率も 18 %程度と、 マイルド法に比べて2倍近くアップします。採れる卵子の数が少ないとよい受精卵ができる確率も少ないので、移植がキャンセルになってしまうことも。たくさん採れれば胚を凍結しておくことができるので、採卵は1回でも移植は何度かチャレンジすることができます。少しずつ何回も採卵 するより、そのほうが費用の面でも効率的ではないでしょうか。
ロング法やショート法を選んだ場合、副 作用のリスクを心配されていますが。
伊藤先生 FSHやLH、AMHなどの数値が不明なので何ともいえませんが、事前にホルモンを調べて、重症のPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)などでないかぎり、O HSS(卵巣過剰刺激症候群)を引き起こすリスクは低いのではないかと思います。
何もなくても一時的にお腹が張ったりすることはありますが、それほどひどくなることはないでしょう。超音波で卵胞の数や大きさなど状況を見て注射の量を加減したり、すぐに移植せず、全胚凍結にして1回体を休ませる。そうすればリスクはだいぶ軽減されると思います。
ゆーたんさんは受精卵が胚盤胞になる確率が高く、妊娠する力もある。よい卵子をある程度確保できれば、次の採卵で妊娠される可能性は十分あると思います。