Q 最後の採卵。副作用を覚悟して ショート法に臨むべき?

伊藤 哲 先生 順天堂大学医学部卒業、同大学院修了。順天堂大学医学部産婦 人科学講師、国際親善総合病院産婦人科医長を経て、1999年あ いウイメンズクリニック開院。日本生殖医学会生殖医療専門医。

ドクターアドバイス

●妊娠率をもっと上げるなら、8~10個採卵できるロング法が理想的。
●注射量の加減や凍結融解胚移植することで、OHSSのリスクを下げられます。
ゆーたんさん(35歳)からの相談 Q.主人が無精子症でTESEにて精子を採取し、凍結保存で 顕微授精しかできません。初めてで注射などが怖かったこ ともあり、34歳の時にマイルド法(クロミッドⓇ+HMG) にて3個採れ、そのうち2個が胚盤胞になり、凍結保存し、 次の周期に凍結融解胚を移植して妊娠しましたが、5~6 週で成長が止まり稽留流産。もう1つの凍結胚は陰性で、 また採卵からのスタートになります。先生からは私が怖が りなのでマイルド法でいいんじゃないかといわれています が、金銭的に次が最後と思っていて、ショート法が卵子が 多く採れるから確率は高いが、お腹が張って苦しくなるの を我慢できれば、ともいわれて迷っています。

今回実施した排卵誘発法の選択は正し かったのでしょうか。

伊藤先生  治療の経過としては悪くないと思います。マイルド法で卵子が3個採れて、そのうち2個が胚盤胞になったということ。残念ながら流産という結果ですが、妊娠はされています。まだ何回かチャレンジできれば、次も同じ排卵誘発法を採用してもいいと思うのですが、採卵はあと1回と考えていらっしゃるようですね。

あと1回だとしたら、どの誘発法が望ま しいと思われますか?

伊藤先生 飲み薬のクロミッドⓇにHMGなどの注射を併用するマイルド法は、クロ ミッドⓇ単独より採卵数が多く(2~7個程度)、文献によると刺激あたりの妊娠率は 10 %前後といわれています。

悪くはないと思いますが、採卵が残り1回でもっと妊娠率を上げたいということでしたら、できれば8~ 10 個程度卵子を確 保するのが理想的ですね。そうなると排卵誘発法はアゴニストを使うロング法かショート法になるでしょう。アンタゴニスト法でもいいと思いますが、ロング法やショート法と比べると費用が高くなってしまいます。

アゴニストを使う高刺激法は採れる卵子の数が多いので、妊娠率も 18 %程度と、 マイルド法に比べて2倍近くアップします。採れる卵子の数が少ないとよい受精卵ができる確率も少ないので、移植がキャンセルになってしまうことも。たくさん採れれば胚を凍結しておくことができるので、採卵は1回でも移植は何度かチャレンジすることができます。少しずつ何回も採卵 するより、そのほうが費用の面でも効率的ではないでしょうか。

  35 歳というご年齢で、卵巣の反応性も悪くないようなら、どんな排卵誘発法も選べると思いますが、あと1回のトライで妊娠 率を上げたいということでしたら、当院だったらロング法をご提案すると思います。

ロング法やショート法を選んだ場合、副 作用のリスクを心配されていますが。

伊藤先生 FSHLHAMHなどの数値が不明なので何ともいえませんが、事前にホルモンを調べて、重症のPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)などでないかぎり、O HSS(卵巣過剰刺激症候群)を引き起こすリスクは低いのではないかと思います。

何もなくても一時的にお腹が張ったりすることはありますが、それほどひどくなることはないでしょう。超音波で卵胞の数や大きさなど状況を見て注射の量を加減したり、すぐに移植せず、全胚凍結にして1回体を休ませる。そうすればリスクはだいぶ軽減されると思います。

ゆーたんさんは受精卵が胚盤胞になる確率が高く、妊娠する力もある。よい卵子をある程度確保できれば、次の採卵で妊娠される可能性は十分あると思います。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。