良好胚を何度移植しても…

Q 顕微授精での良好胚を何度移植 しても妊娠継続できません

内田 昭弘 先生 島根医科大学医学部卒業。同大学の体外受精チームの一員とし て、1987年、島根県の体外受精による初の赤ちゃん誕生に携わる。 1997年に内田クリニック開業。生殖医療中心の婦人科、奥様が 副院長を務める内科、大阪より月1回来院の荒木先生による心理カ ウンセリングをもって現在のクリニックの完成形としている。今年9月、 内田クリニックのホームページがマイナーチェンジし、カウンセリング、 相談室、セミナーの3つの情報にアクセスしやすくなりました。パソコ ン用と携帯用でも見せ方を変えているので、ぜひアクセスを。
もものみさん(34歳)からの相談 Q.不妊治療を始めて2年。フーナーテストで精子が見えず、 3回の人工授精で妊娠に至らず、体外受精専門のクリニッ クへ転院しました。初回採卵で1つしか卵子が採れず、ふり かけで受精しなかったので、2度目からは顕微授精をして います。7度の移植をしましたが、初めの3回は刺激の少 ない方法で採卵。2回目は採卵周期に移植してhCGが0。 次は凍結してから次の周期に移植してhCGが0。その後、 ショート法で採卵し、5日目胚盤胞AAからBBまで4つ、初 期胚グレード1が3つでき、2ステップで3回移植。子宮内 膜は11㎜で、2回は着床したもののhCG20以下で化学流産。自然周期での移植はホルモンがうまく上がらず、2 回キャンセルしています。うまくいかない原因はなんでしょ うか。ほかに方法は考えられないでしょうか。

1回目で受精しなかった原因は?

内田先生 たまたま、卵子の状態が悪くて 受精しなかった可能性もあります。 1 回目の 採卵の際に卵子が 1 個しか採れなくて受精 しなかったから、 2 回目以降はすべて顕微授 精をしているとのことですが、卵子数が増え てきた時に、もう一度、体外受精を試してみ たらどうでしょうか。人工授精が 3 回できて いるということは、精子に驚くほどの異常は ないはず。ただ、精子の数、運動率がわから ないので、実際、調整した時の精子の情報が 欲しいです。また、採卵時に何個採取でき、 顕微授精を何個やって何個受精卵になった のかという情報もあるといいですね。

もものみさんは、良好胚の着床がうまく いかないと感じておられるようです。

内田先生 「自然周期での移植も試みまし たが、ホルモンがうまく上がらず、 2 回キャ ンセル」ということなので、それまでホルモ ン補充周期で融解胚移植をしているだろうと 推測すれば、ホルモン周期のほうがいいかも しれません。でも、この先生の自然周期をやっ てみようという発想は正しくて、ホルモン補 充周期では妊娠成立はするけど育っていない から、自然周期の時に排卵誘発剤を使って着 床の条件を整えるのもありだと思います。
あ とは、 2 ステップで 3 回移植とありますの で、二段階胚移植をしているようですね。当 院で融解胚移植周期に積極的に取り入れてい るシート法はやっていることになるので、アシストハッチング(AHA)という方法を検 討してみてもいいのではないでしょうか。

内田クリニックでは、どのような治療を 進めていくのでしょうか。

内田先生  1 回目に卵子が 1 つしかなく、 ふりかけ(通常の体外受精)で受精しなかっ たようですが、 2 回目は受精卵になる卵子数 が増えているので、もう一度体外受精をして みましょうと伝えます。ショート法で胚盤胞にはなっていても、それが化学流産にしか なっていないので、残るのはロング法とアン タゴニスト法です。卵子の育て方を変えると いう発想があってもいいと思います。

先生は、どの段階で顕微授精を提案する のでしょうか?

内田先生  高度生殖補助医療のいろいろな 治療を含めて、昨年は年間約 5 万1千人が誕 生しているなかで、凍結周期で生まれている のが約 4 万人。顕微授精を行った新鮮胚移植では約4300人です。いくら治療件数が あっても、体外受精での治療と比較しても妊 娠出産率は低いのが現実です。だから僕は、 明らかに精子の数が少ないとか、受精卵にな らない(受精障害)という段階で顕微授精を することにしています。
もものみさんも顕微 授精で胚盤胞にはなっているけど、化学流産 に終わる受精卵にしかなっていない。ですか ら、受精卵になる経過を変えてみようという 発想で、顕微授精をやめるという選択もある のではないでしょうか。

しかし、体外受精を やっても受精卵にならないことを想定して、 顕微授精と体外受精を半々で行うことも提案 すると思います。排卵誘発法も変えて、卵子 が育っていく経過も変えようと。そこをご夫 妻が納得してくれるかどうかですね。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。