このまま同じ病院でもいいのか?

Q 卵子の質が悪く多嚢胞も。 今後も同じ治療を続けるべき?

松山 毅彦 先生 東海大学医学部卒業。小田原市立病院産婦人科医長、東海 大学付属大磯病院産婦人科勤務、永遠幸レディースクリニック 副院長を経て、1996年厚仁病院産婦人科を開設。日本生殖 医学会生殖医療専門医。毎年、年末年始も診療で忙しい松山 先生。仕事の合間を縫って、長崎に住むお母さまを訪ねる予定と のこと。香川から長崎まで日帰りで行くそうで、鉄道好きの先生に とっては移動も楽しみのひとつなのだそうです。
プルさくさん(39歳)からの相談 Q.2015年に治療を再開しました。最初は自然周期でした が、途中でゴナールエフⓇ、レトロゾール、セトロタイドⓇ、 セロフェンⓇなどを使用しながら10回も採卵をしていま す。夫婦ともにこれといった原因はありませんが、なか なか良好な受精卵ができません。今年の春には年齢のわ りに AMHが高いため多嚢胞性卵巣症候群の可能性が大 きいと診断されました。担当の医師からは「卵子の質が いまいちだ」と言われていますが、自分ではどうするこ ともできず、先日は空胞という結果が出てショックを受け ています。医師からは、「またチャレンジしよう」と言わ れますが、今後も同じ治療を繰り返して質の良い卵子が 採れるのを待つしかないのでしょうか。

回数を重ねるごとによくない結果が出 ていますが、上向きになる可能性がある のでしょうか。

松山先生卵子の質については年齢も関 係すると思いますが、プルさくさんの場合は年齢のわりにAMHが高いと診断さ れているのですから、下降線を辿っているとは思えません。卵巣の力は周期によっ て違いますから、次周期に同じ刺激法を採用しても、結果が違うことも多いです。

空胞は何を意味するのでしょう。

松山先生 空胞は、採卵した卵胞に卵子が入っていない状態という意味で使われることが多いようです。プルさくさんの 経過をみると、ゴナールエフⓇ、レトロゾー ル、セトロタイドⓇなどを使用していますが、後半はレトロゾール単独で採卵した り、セロフェンⓇを併用したりといわゆる低刺激で採卵していますね。レトロゾール単独では 1 個採れて、その前はセロフェ ンⓇとの併用で 3 個採れています。低刺激周期の場合は、もともと採れる個数が少なく、それがたまたま空胞だったということはありえます。ですから、それほど落胆しなくてもいいと思いますよ。私の場合は低刺激周期でクロミフェンを使い ますが、たとえば 3 つ採卵してすべて空胞だったとしても、次の周期では必ずしも空胞とは限りません。このように、毎回同じ方法で採卵しても採れる個数や内容はまったく違います。

では、今後も同じ治療を繰り返してい くしかないのでしょうか。

松山先生 同じように思えますが、プルさくさんの経緯をみると担当の先生は少 しずつ刺激法を変えているようです。最初のほうは刺激周期で採卵していますが、 後半からはレトロゾールを使った低刺激周期に変わってきていますね。ですから、今の先生とよく相談しながら治療を続け てもいいのではとも思います。

私が見る限り、良い排卵誘発方法を選 択していただいているように思えますが、それだけに結果が出ていないのが悩まし いですね。セカンドオピニオンも兼ねて転院を考えるのも悪くはないと思います。

転院すれば、何が変わるのでしょうか。

松山先生 医師によって得意な方法をもっていることは多いです。おそらく担当の先生は多嚢胞性卵巣症候群の場合にゴナールエフⓇのようなFSH製剤を使う、比較的基本に忠実な方法をとっていると思います。私もまずそこからスター トしますが、多少のアレンジを加えることによって、結果が変わることも経験しています。

転院については、私なら考えられる策を講じても結果が出ないときに患者さんから相談があれば、快く紹介状を書きます。優先すべきは、患者さんが健康な赤ちゃんを授かることですから。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。