顕微授精卵2日目の成長について

成長が遅い受精卵は 妊娠してもリスクがある?

 
苔口 昭次 先生 1984 年、宮崎医科大学を卒業。卒業と同時に岡山大学医学 部産婦人科学教室に入局。高知県立中央病院産婦人科勤務、 神戸掖済会病院産婦人科部長を経て、2004 年9 月より英ウィ メンズクリニック勤務、2013 年 3 月に院長就任。同クリニック では、患者様向けの体質改善プログラムとして「フェルデンクライ ス・メソッド」を月1 回開催。ゆったりとした動きを通して、自分 の体の声に静かに耳を傾けるので「動く瞑想ともいわれ、運動が 苦手な方にもおすすめですよ」

ドクターアドバイス

●胚盤胞での妊娠実績があれば、胚盤胞移植を継続してみては
●自然周期による初期胚の複数個移植を試されるのもありです
 
サキコさん(34歳)からの相談 Q.現在44歳、6年ほど不妊治療をしています。先日、ある クリニックで採卵いたしました。顕微授精2日目になるの ですが、2分割という成長だと病院から連絡がありました。 調べてみると通常2日目では4分割になるとありました。 このまま黒色にまで培養をお願いしているのですが、成長 が遅い受精卵は移植できたとしても着床しなかったり、染 色体異常などが起こる可能性は高いのでしょうか? 長い 治療の間、今年4月に一度だけ妊娠反応が出ましたが、心 拍が確認できず7週目に掻爬手術を受けました。遺伝子異 常(trisomy13)でした。その際も受精卵の成長が遅く 卵子孵化補助をしてもらったものでしたので、すごく心配 になり質問させていただきました。 

受精卵の成長が遅い場合、どんなことが 考えられますか?

苔口先生 受精卵は2日目で4分割になる ことが多く、この方の成長は若干遅めです。
受精卵の成長が遅れる主な理由は年齢的な 要因です。
一般的には、2分割の受精卵が胚盤胞にな る確率は 17 〜 18 %。このまま胚盤胞になり、 着床から発育まで順調に進めば問題ありませ んが、成長が遅い胚盤胞を移植できたとして も着床しなかったり、染色体異常の確率が高 くなります。
たとえば、正常な胚盤胞ができ る確率は 30 代が 70 %なのに対し、 40 代では13 %です。
つまり、 80 %以上の胚盤胞に染色体異常、形態異常、フラグメンテーション(受精卵の分割時の断片化)の可能性があります。
まずは、 13 %の可能性にかけて治療を続けて いくことが大切です。
また今後、妊娠された場合も、 44 歳ではダ ウン症の確率が1/ 38 人と高くなりますの で、NIPT(新型出生前診断)や羊水検査 を受けられる選択肢も出てくるでしょう。

先生ならどのような治療をされますか?

苔口先生 治療について2つ提案がありま す。 1 つ目は、胚盤胞移植を根気よく継続 する方法です。
この方は一度妊娠されてい ますので、これが胚盤胞によるものであれ ば、今後も可能性があります。
ただし、成 長が遅い受精卵の場合は、5〜6日目に胚 盤胞になったものを一度凍結し、黄体期の 1日前に移植する方法もあります。
本来は 5〜6日目の胚盤胞を黄体期の5日目に移 植しますが、黄体期の1日前に移植するこ とで、子宮内で胚盤胞の成長を促して着床 しやすくするメリットがあります。
2つ目は、これまでに自然周期の初期胚 移植(複数個移植)を試されたことがなけ れば、一度おすすめします。
この方はAMHが 0 ・ 13ng / ml と低く、HCGのような注射でたくさん採卵することは難しいので、 マイルド法や自然周期で採卵します。
ちな みに、 35 歳以上でAMHが1 ng / ml 以下の 場合、胚盤胞になる確率は 16 %。
44 歳では 確率がもっと低くなる可能性はあります。

これから卵子の質を上げるためにできる ことはありますか?

苔口先生 当院では「運動(血流を促す)」、 「睡眠(抗酸化作用を高める)」、「食事(血 液をサラサラにする)」の3つをお伝えして います。
「運動」では、1週間に1〜2回、汗ばむ運 動を心がけてください。運動が苦手な方は、 1日1万歩をめざして歩きましょう。
「睡眠」では、夜 10 時の就寝をおすすめし ています。
10 時に眠ると体をリセットする 働きがあるメラトニンの分泌を促すことが 知られています。
10 時の就寝が難しい方や、 不眠症の傾向がある方は、サプリメントで メラトニンを摂取することもできます。
「食事」では、オリーブオイルや青魚に豊富 に含まれるDHAやEPAが多く摂れる地 中海食をおすすめします。
ストレスを溜め ないようにすることも重要です。
ご自身で できる体質改善を取り入れながら、良い卵 子に巡り会えるよう、根気よく治療を続け てください。

 

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。