不育症で、現在顕微授精で治療中

刺激しても採卵数が少なく、 胚のグレードも悪い。

質の良い卵子を採る方法は?

臼井 彰 先生 東邦大学医学部卒業。東邦大学大森病院で久保春海教授の体外 受精グループにて研究・診察に従事。医局長を経て、1995年より 現在の東京・亀有にて産婦人科医院を開業。1階に続き、2階のフ ロアもゴールデンウィーク中に改装工事を実施する予定。患者さんが 親睦できるデイルームをはじめ、特に化粧室のリニューアルには力を入 れたいとか。女性、男性ともにますます快適に通える施設になります。
なっこさん(27歳)からの相談 Q.24歳、25歳の時に妊娠しましたが、2回とも心拍確認前に自然流産。26歳 で心拍確認後に流産しています。流産は合計3回で、染色体検査は怖くて受け ていません。不育症の検査をして、現在はアスピリンを服用しています。26 歳から人工授精を3回しましたが、AMH値が3.4ng/mlしかなく、先生から「早 く妊娠したほうがいい」といわれ、体外受精に踏み切りました。主人の精液の数 値にもムラがあり、顕微授精で臨みましたが、アンタゴニスト法で5個しか採卵 できず、移植しても着床できませんでした。胚盤胞移植する予定ですが、3BC、 4BC、4CCと胚のグレードが悪く、妊娠・出産まで至るのか不安です。再度採 卵すべきか、その時の誘発法は何がいいのか。質の良い卵子を採るためにはど うしたらいいか、教えていただきたいです。

不育症について

これまでに原因不明で3回流産が続いてしまったということですが。
臼井先生 検査を受けて、不育症と診断されたようですね。
残念ながら、不育症についてはまだ解明されていない部分も多く、治療法も限られた方法しかないのが現状です。
アスピリンは血流を改善するお薬で、流産を予防するためにはこのまま飲み続けていただいていいと思いますね。
確実に効果があるかどうかははっきりといえませんが、当院でもアスピリン療法をしてうまくいったという患者さんも多くいらっしゃいます。
アスピリンのほかに、当帰芍薬散という漢方薬も飲まれているとのこと。
このお薬にも血流を良くする効用があるといわれているので、不妊治療をしながら、引き続き飲んでいかれていいと思います。

AMHと不育症

AMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が低いことも気にされているようです。
臼井先生 まず先にいっておきますが、流産が続くこととAMHが低いことの因果関係はありません。
AMHは残りの卵胞数を予測する目安になるもので、卵子の質を示している値ではないんですね。
ですから、「AMH低値=流産が多い」というふうにはとらえないほうがいいと思います。
この方は 27 歳でAMH値が 3.4ng/ ml との こと。
年齢の割には平均値よりやや低めかもしれませんが、それほど低い数値とは思いません。
3.0ng/ ml 以上あれば、治療する うえでほとんど問題がないといえるでしょう。
年齢が高く、1~ 0.5ng/ ml 程度の低値 となると、治療のスピードを速める必要があると思います。

男性不妊の可能性も

採卵数や胚のグレードについてはどう思われますか。
臼井先生 アンタゴニスト法で5個卵子が採れて、3個胚盤胞になっている。
これもそれほど悪くなく、いい感じでいっているのではないでしょうか。
数については、同じ刺激法でも注射の本数など、刺激の加減によっても変わってくるので、何ともいえません。
おそらく、抑えめの刺激だったのではないでしょうか。
胚のグレードについては、4CCだと妊娠率は 30 %程度と低くなりますが、あと はこのまま移植に臨んでいいと思います。
それでも結果が出なければ、次は前回と違う低刺激法で誘発するなど、とにかくまだ年齢がお若いので選択肢はたくさんあると思いますね。
体外受精をしながら、自己タイミングをとっていっても十分妊娠するチャンスはあると思います。
残念ながら卵子の質を上げる確実な方法はありませんが、一つ気になるのはご主人の精子の状態。
精索静脈瘤などがあると、いい受精卵になりにくかったり、流産しやすくなることもあるので、一度泌尿器科や男性不妊外来で精密検査を受けてみることをおすすめします。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。