PCOSとはどんな病気?

PCOSとはどんな病気?

卵巣の中に小さな卵胞がたくさんできて、ホルモン異常や排卵障害を引き起こすとされるPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)。

その原因や診断基準、治療法などについて、俵IVFクリニックの俵史子先生にお話 を伺いました。

俵 史子 先生 浜松医科大学医学部卒業。総合病院勤務医時代より不妊治療に携わり、 2004年愛知県の旧竹内病院トヨタ不妊センター所長に就任。2007年、 静岡市に俵IVFクリニックを開業。 静岡駅前に移転し、3月9日に最新 の設備を備えた施設をリニューアルオープン。最近は運動不足を解消 するために週2~3回スポーツジムへ。高温多湿の部屋で体を動かす プログラムはかなりハード。終わるとヘトヘトになるそうですが、汗 をかいてすごく気持ちがいいそう。

ドクターアドバイス

治療の効果がみられなければ 早めにステップアップを

ある程度の期間や量、排卵誘発剤を使っ ても妊娠に至らなければ、体外受精など へのステップアップを視野に入れること も必要です。

長く治療を続けるのではな く、なるべく早く結果を出すことはPC OSの人でも同じだと考えてください。

PCOS基礎知識チェック!!!

〇PCOSは体質改善で治ることがある

〇PCOSの人は子宮体がんのリスクが高い

〇PCOSはメタボリック症候群になりやすい

△PCOSの人は卵子の質が悪い

卵胞が小さい

超音波検査では左右の卵巣に多数の小卵胞 がみられ、少なくとも片側の卵胞だけで2 ~9㎜の小卵胞が10個以上存在する。

卵巣が腫大化し、皮膜も厚くなることも

びっしり小卵胞が詰まっているので、卵巣が腫大し て体積も大きくなってしまう。卵巣の皮膜が硬く厚 くなってしまうタイプも。

PCOSとはどんな病気? 引き起こしてしまう 原因は?

PCOSは「Polycystic   Ov ary   Syndrome」の略で、日本語 では多嚢胞性卵巣症候群といわれています。

卵巣の中にびっしりと小さな卵胞が詰 まっていて、その卵胞の多さと卵巣の皮膜 の肥厚により、卵巣自体の体積も大きくなっ てしまいます。

見た目が多嚢胞だけのこと をPCO(多嚢胞性卵巣)といいますが、 診断基準に当てはまると、それに症候群を つけてPCOSと呼んでいるんですね。

症候群なので病気とは少しニュアンスが 異なり、私は状態とか体質、タイプによっ ては生活習慣病の一つでもあると考えてい ます。

原因については諸説があり、おそら く遺伝子レベルでの原因追及はまだできて いないのではないでしょうか。

PCOSは女性ホルモン系の異常だけで はなく、糖代謝や副腎由来のものなど、他 の臓器の内分泌異常も原因といわれている んですね。

PCOSの患者さんのインスリ ン抵抗性を調べると、血糖値や糖代謝に異 常があるケースが多いことが報告されてい ます。

当然肥満も関係してきますが、そう なると生活習慣病もPCOSの一つの要因 に。

もちろん、なかには痩せ型の人もいま すが、当院ではBMIが 25 を超えている方 が多いですね。

PCOSの診断基準と症状について教えて

PCOSについては、2007年に新し い診断基準が作成されました。以下に示す、1~3のすべての条件を満たす場合、PC OSと判断します。

• 月経異常(無月経や稀発月経など)

• 卵巣の多嚢胞の変化

• 血中男性ホルモン高値、またはLH基礎値 高値かつFSH基礎値正常

1は基礎体温、2は超音波による検査、 3については採血による検査ですぐに診断 をつけることができます。

生理がきていて も 10 代の頃からPCOSの傾向があったか もしれません。

毎月生理があっても1年を 通して1回も排卵していなかったという ケースも。

基礎体温をみれば月経に異常が あるかどうかわかります。

PCOSの症状には、肥満や多毛、低音声 など男性化する例もみられますみられます。

あとは診断基準にあるようなホルモンの異 常。その結果として排卵障害、不妊というこ とになります。

卵胞がたくさんできると、卵胞にある莢 きょうまく 膜 細胞の男性ホルモン濃度が高まり、脳下垂体 のLHなどのホルモンが上昇します。

そうな ると逆にFSHの分泌が抑制されてしまい、 卵胞発育につながっていきません。

卵胞の数 が通常より多すぎると、排卵のリズムがうま く作られなくなってしまうのです。

妊娠を希望する場合の 治療法は?

PCOSは症候群なので根本的に治すこ とは難しく、「この薬を飲めば完治しますよ」 というものではありません。

その状態で妊娠 ができるように不妊治療をしていく、という のが基本的な考え方になるかと思います。

治療にはいくつか段階があります。

肥満の 人にはダイエットをご提案します。

このよう なタイプの方は、薬を使わず、体重をコントロールするだけで排卵障害が改善されること があるんです。

その次の段階は排卵誘発。飲み薬のクロミ フェンを使って排卵誘発をしていきます。

イ ンスリン抵抗性の方はメトホルミンというお 薬の併用で、排卵しやすくなるということが 多数報告されています。

これらの方法でも排卵が起きなかったら、リコンビナントFSHあるいはFSHの低用 量漸増療法を。

これは卵胞の発育をうながす ホルモン剤を連日注射していく方法です。

また、注射のほかに、腹腔鏡下卵巣多孔 術という手術による治療法も。

レーザーな どを使って、卵巣の表面に多数の穴を開け ます(ドリリング)。

たくさんある卵胞を潰 していくとLHやアンドロゲンなどのホル モン状態が改善されたり、排卵も起きやす くなるのですが、永久的な効果はなく、し ばらくするとまた元の状態に戻ってしまう 人もいます。

無月経や稀発月経など月経に異常があり、 まだ年齢が若く、すぐに妊娠を望んでいない場合は、カウフマン療法や低用量ピルで 月経周期を整えていくという治療もありま す。

PCOSの人はそうでない人と比べて、 子宮体がんになる率が少し高いといわれて います。

リスクを軽減するためにも、月経 異常は早めに改善させ、子宮体がん検診を 受けておいたほうがいいかと思います。

このような方法を試しても妊娠まで至ら ない場合、最終的に体外受精という選択が あります。

実は体外受精においては、PC OSはあまり障害にならないんですね。

卵 子が採れないケースと比べたら、たくさん 採れたほうが好ましいかと思います。

PCOSの人は採れる卵子の質が悪いと いう報告もありますが、経験からみて、私 は必ずしもそうではないと思っています。

数の割に良好胚が少ないということはある かもしれませんが、移植1回あたりの妊娠 率はそれほど変わらないのではないでしょ うか。

卵巣刺激の際、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクを考えることは必要です が、妊娠は十分期待できると思います。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。