胚盤胞にならないのは 卵の質が悪いせい?

分割胚でも妊娠できる?

生田 克夫 先生 名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立大学産科婦人科学教室 助教授、名古屋市立大学看護学部教授などの経歴を重ねたが、不 妊に悩む名古屋の方たちの役に立ちたいという思いで、教育者の立 場を辞して独立。地元・名古屋の中心部、栄に開院し、1986年か ら体外受精の現場を歩いてきた経験と穏やかな人柄で、数多くの患 者さんを妊娠に導く。もともと海老反りすると頭が背中につくくらい体 は柔らかかったという先生。「最近は体力維持のために散歩やストレッ チは欠かしません。特にぎっくり腰予防のためにも、腹筋と背筋のバ ランスを崩さないように気をつけていますよ」。
りーなさん(37歳)からの相談 Q. タイミング法を1年、人工授精6回。その後、体外受精で採卵を2回しましたが、 どちらも胚盤胞に育たず、途中で分割がストップしてしまいました。胚移植は二段階胚移植を予定するも胚盤胞に育たなかったため、初期胚移植1回のみです。 1回目の体外受精する前のAMHは4.69ng/mlで良いほうだと言われました が、採卵数も少ないです。1回目はア ※ ンタゴニスト法で6個中4個受精、2 回目はシ ※ ョート法で6個中5個受精ですが、いずれも胚盤胞になりません。現在、 マルチビタミン、葉酸、黒酢サプリと病院処方のLカルニチンを飲んでいます。 胚盤胞まで育たないのは卵子の質のせいでしょうか? また分割胚での妊娠は難 しいのでしょうか?

胚盤胞になるかどうか?

胚盤胞まで育たないのはなぜでしょうか?
生田先生 受精卵ができても胚盤胞まで育たないというのはよくあることです。
ただ、グレードの良い卵ができていて胚盤胞にならないのか、グレードが落ちていてさらに胚盤胞にならないかでは大きく違ってきます。
グレードが落ちていて胚盤胞にならないということであれば、やはり卵の質が悪いということが考えられますので、できるだけ良い卵を採ることが重要になってきます。
りーなさんは今のところアンタゴニスト法とショート法を試されているようですが、もっと他の方法も試してみてはどうかと思います。

誘発法を変えてみる

具体的にはどんな方法が考えられますか?
生田先生 アンタゴニストの時にはクロミッドⓇと注射を使われたのでしょうか。
もしそうであれば、アロマターゼ阻害剤などを使ってみるのもひとつの方法かもしれません。
クロミフェンは胚の染色体異常の頻度が少し高くなるという論文もありますし、ショート法で使う点鼻薬にも卵の周りの顆粒膜細胞のアポトーシスを増やすという論文もあり、それぞれに一長一短はありますから。
どの方法が合うかということを探してみる必要はあると思います。
また、いっそのことロング法で、徹底的に ホルモン的なものを抑えこんで無理のない感じで卵を大きくするかですね。
さらには、いくつかの卵を膨らませようとすると卵の質が悪くなる場合もあるので、冒険ではありますが、自然周期の採卵をしてみるのも手です。
ただその場合、卵が 1 個採れるかどうかという懸念はあるので、なかなか決断は難しいかもしれません。
それ以外には、やはり卵巣の環境や卵胞 の中の環境をできるだけ良くすることも必要かと思います。
そのためには、ビタミン C 、E 、B 12 とか、コエンザイム Q10 とか、Lカ ルニチンは飲んでいらっしゃるみたいですが、そういったサプリメントをしっかり使ってみるのも有効だと思いますよ。

胚盤胞が全てではない

胚盤胞に比べ、分割胚での妊娠は難しいのでしょうか?
生田先生 子宮内と培養室での環境はまったく違いますから、子宮内では胚盤胞になって着床できても、外の環境下には弱い卵というものはあります。
胚盤胞で戻して妊娠率が良いのは、そこまで外の環境に耐えうる胚だからということです。
分割胚から胚盤胞に育つものは 4 割弱、良い胚盤胞であればもっと確率は少ないものです。
そういった点でセレクションをかけて生き残った受精卵は、確かに妊娠率が高いですが、胚盤胞以外がすべてダメだとは言い切れません。
要は、子宮の環境下であれば胚盤胞まで育つ質の卵もあるのです。
ですから、胚盤胞にこだわらず分割胚で戻してもいいと思います。
AMHの数値を見ても、まだ卵の余裕がありそうですし、そんなに落ち込まなくても大丈夫。まずは他の刺激法を試してみてはいかがでしょうか。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。