今後の治療について

9回移植しても妊娠せず。

着床できる胚をつくり 内膜を厚くする方法は?

原 利夫 先生、近藤 悠子さん 1983年、慶應義塾大学大学院(医学)修了にて医学博士学位を取得。 同大産婦人科助手時代、日本初の凍結受精卵ベビー誕生の一員として 活躍。その後、東京歯科大学市川病院講師、千葉衛生短大非常勤講 師を経て、1993年はらメディカルクリニックを開院。今回の取材では、併 設サロン「ツーブルーライン」のセラピスト・近藤さんにもお聞きしました。ツー ブルーラインのセラピストは全員鍼灸の国家資格保持者。低温期には「ボー ンスクイズ」、着床期には「一源三岐鍼」という鍼など、周期や治療内容 に合わせて施術を行います。他のクリニックで治療中の方もOK。
さくらのさん(39歳)からの相談 Q.顕微授精を始めて2年になります。最初の病院で新鮮初期胚と胚盤胞を移植し、 いずれも陰性でした。転院して現在の病院で新鮮初期胚で妊娠しましたが、7週で 稽留流産。その後シート法やA ※ HAもやり3回凍結胚移植しましたが陰性でした。2 回目の採卵は13個採れて9個受精し、新鮮初期胚移植は陰性で、初期胚4個、 胚盤胞4個を凍結。移植2回は陰性、第 ※ 12因子欠乏症と診断されたためアスピ リンを内服しながら移植をすると、着床したものの化学流産しました。なぜこんな に着床しないのかと聞いたら、卵子の問題と言われました。最近は子宮内膜も8~ 9㎜と薄めです。転院も考えましたが、A院は胚盤胞移植にする、B院は不育症治 療はしないというのを見て、どうすればいいかわかりません。子宮内膜が厚くなり 数が少なくても質の良い卵をつくる方法を教えてほしいです。

子宮内膜と血流

どうすればうまく着床するのでしょうか。
原先生 移植の時の子宮内膜の厚さは 10 ㎜は 必要ですが、さくらのさんは 8 ~ 9 ㎜と子宮 内膜が薄いですね。
子宮内膜を厚くするため には血流を良くする、血流を増やすというこ とが大切です。
当院では併設のサロンで独自 に開発したボーンスクイズマッサージを行っ ています。
このマッサージは骨に強めの刺激 を与えることで、その骨の周囲の動脈血管か ら血流改善を促す一酸化窒素(NO)を産生 させるというものです。
NOは、血管新生に 関与する必要な血管内皮細胞増殖因子という 物質を増やす役割もあり、 2 つの効果が期待 できます。

ボーンスクイズ

近藤さん ボーンスクイズは足のつま先から 内腿にかけての骨の部分を、セラピストの手 根という手の骨で強めに圧迫していくという 施術になります。
少し痛い施術ではあります が、終わったあと体がポカポカしてくるなど、 皆さん血流が良くなったという効果を実感さ れているようです。
また、 1 時間くらいかけ て施術を行っていくので、多くの患者様は施 術中に治療の悩みや気になることをお話しに なります。
それで精神的に楽になったとおっ しゃる患者様が多いですね。

ストレスを和らげる

原先生 サロンに来なくても血流を良くす るため、また不妊の原因の一つになるスト レスをやわらげるために、病院の治療に加 えて何か東洋医学的なものを取り入れると いいと思います。
しかもそれは漢方薬ではなく、ヨガや散歩、ふくらはぎを揉むなど 運動要素のあるものがいいですね。
それか ら生体のリズムを整えるためには早寝早起 きが大切。
さらに早く起きたら朝日に当た り、ビタミンDも増やしていくといいです ね。
そうすることによって本来の生体の力 を引き出し、その力を利用することで子宮 内膜も厚くなっていくと思います。

胚盤胞移植がスタンダード

転院を考えているけれど、胚盤胞移植や不育治療の点が希望に合わないとのこと です。
原先生 さくらのさんははじめに妊娠した 時が初期胚移植だったのでそこが気にな るようですが、医学的には胚盤胞移植の ほうが妊娠率が高く、今は世界のスタン ダードになっています。
前回はたまたま初 期胚で妊娠されましたが、胚盤胞だから 妊娠しないということはありません。
不 育治療に関しては、アメリカにはどんな 薬も効果がなく、カウンセリングが一番 効くとされているデータがあります。
で すからそういう考えのもとに立っている 先生は、積極的に不育治療はしていない と思います。
否定的なデータも多いので、 あくまで補助的なものと考えたほうがい いと思います。
ネットや雑誌には多くの病院が出てい ますが、一つの病院でじっくり治療して みることも大切です。
胚盤胞移植が合わ ないと思ったら先生とよく話し合ったり、 不育治療についてもやっていないのだっ たらどんな理由なのか説明を受けてみて ください。
どの先生もベストだと思う治 療をされているはずなので、信頼して体 を預けることが大切です。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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