42歳で両側卵管閉塞、 卵の数も少なめです。
どんな治療ができますか?
操 良 先生 岐阜大学医学部卒業。岐阜大学附属病院で8年間、不妊専門外来 を担当し、1992年には岐阜県下初の体外受精に成功。女性ホルモ ンに関する研究成果が認められ、平成9年度に岐阜県医学研究奨励 賞を、平成11年に日本内分泌学会で研究奨励賞を受賞。現在、操レ ディスホスピタル院長。医学博士。日本生殖医学会認定生殖医療専 門医。2014年5月にスタートした新病院では、男性不妊外来への予 約が予想以上に多いとか。11月には院内初のmicroTESEも施行さ れ、ICSIまでの一貫した院内対応が可能に。
うさぎさん(42歳)からの相談 Q.両側卵管閉塞(狭窄)で体外受精にて治療歴8ヵ月。高FSH20(Day3)、低 AMH0.16です。3ヶ月前はFSH11.3でした。これまで採卵は5回。クロミフ ェン+HSG注射(採卵2回)で卵子2個、フェマーラⓇで卵子1個、うち1個が胚 盤胞になり、体外受精1回(陰性)でした。クロミフェンのみや完全自然周期での 採卵では各空胞でした。マーベロンⓇ服用、DHEA使用。今後、体外受精を続け る場合、どのような刺激法がいいのか、低刺激法がいいのか、他の刺激法(ショー ト法などはやったことはありません)がいいのか悩んでいます。また、高齢で採卵 数も少ないため、卵管鏡手術を受けて少しでもいろいろなチャンスを広げること も考えたほうがいいのでしょうか? どうぞご教示ください。
AMH値と年齢から考えると
42 歳というと、やはりそろそろ治療も難 しい年齢でしょうか?今後はどのような 刺激法が可能でしょうか?
操先生 当院の患者さんでも今はそんなに 珍しい年齢ではありませんが、体外受精 や顕微授精など特定不妊治療の助成金の 年齢制限においては、ちょうど上限に当 たる年齢にもなりますし、時間的にあま り余裕がないのは確かですね。
また、FSHは 3 ヵ月前は下がってい るようですが、これはたぶん低容量ピル のマーベロンⓇの作用による改善だと思わ れますので、やはりもともとFSHは高 いのだと思われます。
さらにAMHも低 く高齢でもありますので、やはり今後も 低刺激もしくは自然周期が望ましいので はないでしょうか。
刺激周期のメリットは採卵数
刺激を強くしても、あまり効果は上がら ないということでしょうか?
操先生 これまでも低刺激で毎回1個ずつ くらいしか採卵できていないようですが、 もともと卵が採れる人は、フェマーラⓇや クロミフェンでも 1 回につき3~4個く らいは採れたりするものです。
うさぎさ んの場合は、おそらく刺激方法を変えた としても個数としてはあまり期待できな いのではないかと思います。
刺激周期のメリットは、なるべくたくさ んの卵を採るということですので、そのメ リットが活かされないのでは意味がありま せんし、むしろ刺激を強くすることで卵巣 に負担がかかることも考えられます。
FTカテーテルで打破できる?
卵管鏡手術のメリットはいかがでしょう か?
操先生 卵管閉塞が解除できれば、自然 妊娠も一応は期待はできるということを 考えると、卵管鏡手術は選択肢のひとつ ではあるかもしれません。
ただ、どの部 位で閉塞しているかにもよります。
閉塞部位によっては通過しないとか、通って も再閉塞してしまう場合もありますので、 それはなんともいえませんが、近位での 閉塞であればFTカテーテルによる卵管 鏡下卵管形成術が可能となり、体外受精 ではなく、自然周期という発想での妊娠 の可能性が広がるとはいえます。
低刺激中心の誘発方法
今後の治療はどのように進めるのが良い でしょうか?
操先生 やはり低刺激の体外受精からあま り外れるようなことはお勧めしません。
や はり、クロミフェンもしくはフェマーラⓇ の周期で行ってみて、結果がでなければ 完全自然周期にトライしてもいいかと思 います。
1 度は空胞だったように、完全 自然周期は確かにキャンセル率は高いの ですが、卵巣などに負担がかからない分、 いい卵が採れる可能性もあります。
それでも難しければ、卵管鏡手術も視 野に入れたほうがいいでしょうね。
現在、 DHEAを飲まれているようですが、ほ かにも血流を改善するようなサプリや漢 方薬を補助的に接種されてもいいかもし れません。
そして、いい卵が採れること を待つことが何よりも大切です。