「男性不妊の原因とは?」

不妊の原因は、女性だけでなく、男性にもある場合があります。

でも男性不妊についてはよく知らないという方も多いのではないでしょうか?

そこで、男性不妊の治療に精通している 京野アートクリニック・京野アートクリニック高輪の京野先生に、 今回は精液検査からわかる男性不妊についてお聞きします。

京野 廣一 先生 福島県立医科大学卒業後、東北大学医学部産科婦人科学教室入 局。1983年、チームの一員として日本初の体外受精による妊娠出産 に成功。2001年日本初の凍結卵子による妊娠、出産に成功、2007 年、京野アートクリニック(仙台市)開院。2012年、東京・高輪に京野 アートクリニック高輪を開院。100年以上継続するクリニックを目指し、 真摯な姿勢で生殖医療に取り組む。プライベートでは最近スープ作り に凝っている先生。お花見の時期には、ボストン在住の知人からレシピ を教わり、本格的なクラムチャウダーをスタッフにふるまったそう。化学調 味料が入っていない優しい味は格別だったとか。

精液検査だけでも さまざまなことがわかる

男性の基本的な検査として「精液検査」があります。

これは精液を採って、その状態を詳しく調べるもので、精液の量、精子の数や動き、形の異常(奇形率)、白血球の数などをみるんですね。

この検査を受けることで、さまざまなことが わかります。

基本的にはWHOの基準をもとに、異常があるかどうかを診断していくのですが、たとえば精液の量。

採れた量が1 mL 未満の場合は、逆行性射精が疑われます。

これは、外に射出される精液が少なく、残りは膀胱のほうに逆流してしまうものです。

精液量が1 mL 未満であれば、精液検査の後に尿を採っていただき、その中に精子があるかどうかを調べます。

逆行性射精は糖尿病の方に多く見られるので、その場合は不妊治療と同時に糖尿病の治療もきちんと併行していく必要があります。

また、精液中の精子の数が少ない場合(1mL あたり1500万個未満)は乏精子症、精液中の運動している精子の割合が低い(運動率 40 %未満)場合は精子無力症と診断されます。

いずれも精索静脈瘤が原因となっていることが多く、当院に来院される男性の3~4割がこの症例となっています。

精索静脈瘤とは、精巣やその上の精索部に静脈瘤が認められる状態のことで、精巣の温度が上昇することにより、精子を造る能力が低下するといわれています。

この病気は手術で改善する場合が多く、精子の数や運動率が良くなれば、自然妊娠でお子さんを授かる方もいらっしゃいます。

一般男性の100人に 1人が無精子症

精子の数に関しては極端に少ない、あるいはまったくいない(無精子症)という方も決して稀なことではなく、一般男性の100人に1人、不妊男性の5人に1人がこの病気だといわれています。

無精子症には、非閉塞性無精子症と閉塞性無精子症があり、前者は染色体の数的な異常(クラインフェルター症候群)など、後者は精管が生まれつきない、精巣上体の炎症、精管結紮などが原因で引き起こされると考えられています。

まだはっきりと解明されていませんが、他に遺伝子の異常でも無精子症になることがあるようです。

無精子症は、SimpleTESEやMicro -TESEといった手術で精細管から精子を採取しICSIしますが、遺伝子が原因になっているような場合は、手術をしても見つからないことがあります。

精液検査は重要ですが、精子の状態は体調によって変動があるので、1回目で悪い結果が出たら、少し間をおいて再度調べてみること。

2~3回検査をして、その方の本当の精液所見を確認することが大切だと思います。

また、精液検査だけではわからないこともあるので、原因や病態を正しく診断するためには、男性不妊専門の施設で精密な検査を受けることをおすすめします。

的確な処置をすれば改善する可能性は十分あるので、諦めずに治療に臨んでいただきたいですね。

治療については きちんと話し合いを

「夫側に不妊の原因がある」とわかって、夫婦仲がギク シャクしてしまったというお話をよく聞きます。

男性は、結果を知らされただけで大ショック。

「自分に生殖能力がない」と落ち込んで、妻に対してかなり負い目を感じていると思います。

それに輪をかけるように責める言葉をかける方はいないと思いますが、あまり気を遣いすぎてもいけないと思いますね。

男性が立ち止まってしまうと、不妊治療がどんどん遅れて、女性の加齢に拍車をかけてしまいます。

治療に関しては「このままだと赤ちゃんはできないけれど、あなたはどうしたい?」とはっきり聞いたほうがいいと思います。

難しければ医療機関を介して、早めにこれからの治療の方向性について話し合っていただくことが大切だと思います。

精液検査で診断できる男性不妊症

男性不妊は精液の量、精子数、動き、形、白血球の数などから診断する。 基本的にはWHOの基準をもとに、異常があるかどうかを診断していく。

乏精子症

精液中の精子の数が少ない (1mLあたり1500万個以下)→受精率低下

精子無力症

精液中の運動している精子の割合が低い (運動率40%未満)→受精率低下

精子不動症

精液中の運動している精子が0%の場合

精子奇形症

形に異常のある精子の割合が高い→受精率低下

膿精液症

精液中の白血球の数が多い→受精率低下

無精子症

精液中に精子がない

治療対策

原因や状況に応じて、治療法を選択していきます。

●非ホルモン療法

(漢方薬、ビタミン剤、サプリメントなど)

●ホルモン療法

(ホルモン異常が原因と思われる場合)

●人工授精

(軽度乏精子症、軽度精子無力症、性交後試験の結果不良)

●顕微授精

(高度乏精子症、高度精子無力症、精子不動症、体外 受精による受精障害など)

●抗生物質内服

(膿精液症の場合)

●カウンセリング、薬の服用

勃起障害や射精障害の場合は、排卵日に計画的に性交 することに男性がストレスを感じて起こることが多 い。京野アートクリニックでは、心理カウンセリング や薬で治療を行う

●生活習慣の改善

禁煙や休養、ストレス軽減など

●精索静脈瘤の治療、精巣内精子回収など

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。