顕微授精前の治療について

精索静脈瘤の手術後、顕微授精の確率を少しでも高めたいのですが

藤野 祐司 先生 大阪市立大学医学部卒業。米国留学、同大学医学部婦人科学教室講 師を経て、1997年にクリニックを開業。現在、同大学で非常勤講師も務め る。B型・おとめ座。先日、クリニックのスタッフから 誕生日のお祝いに、パッケージに先生の写真をプリ ントしたオリジナルのチロルチョコをプレゼントされた 先生。「いいでしょう!」と、嬉しそうに取材陣にもお裾 分けしてくださいました。
chamiさん(28歳)からの相談 Q. 1年間、タイミング療法と人工授精でチャレンジしていましたが、今年の12月に顕微授精を受けることになりました。3周期ほど間が空くことになります。その間、タイミング 療法などでの望みが少なそうであれば、治療はお休みしたほうが、採卵や移植の際にい い結果につながりやすくなるでしょうか? ここ2周期ほど薬を使わず検査のみで治療 を休んでいますが、調子良く17日前後で排卵するので、状態がいいようなのです。 ただ、最近の夫の精液所見が良くありません。精索静脈瘤の手術2カ月後で運動精子数 50万個/mL、運動率35%でした。体に負担をかけずに顕微授精を待つべきか、奇跡的 なことかもしれませんが排卵誘発をしてタイミング療法にかけてみるか。確率が上がる なら顕微授精までは排卵誘発しないほうがいいかなと思うので。アドバイスをお願いい たします。

排卵誘発の負担

顕微授精前の排卵誘発は体に負担がかからないかと心配されています。
藤野先生 クリニックの治療方針や排卵誘発の方法にもよるでしょうね。
たとえば、顕微授精の実施にあたって、ロング法やショート法などの強い刺激を考えていらっしゃるのなら、タイミング法のために、積極的な排卵誘発はやめておいたほうがいいでしょう。
それからchamiさんは、多嚢胞性卵巣症候群ということですので、なかなか排卵のコントロールがうまくいかない場合が多いと思います。
場合によってはホルモンを補充するカウフマン療法で排卵しないように卵巣を休ませて、次の顕微授精にそなえたほうがいいかもしれません。

妊娠率をUP

顕微授精の妊娠率をアップさせるには?
藤野先生 最近は、女性の卵子の老化について話題になることが多いですね。
それは男性の精子も同様で、加齢やストレス、感染症、また精索静脈瘤で常に精巣が高温にさらされているケースなどで、精子のDNAがダメージを受け断片化を起こしていることがあります。
最近、試薬を使い、そうした精子を取り除くことによって、体外受精における妊娠のチャンスが高まることがわかってきました。
当院でも昨年からこの方法を取り入れていて、精子濃度が2000万個/ mL 以下の乏精 子症の方を調査してみたところ、通常の顕微授精よりも妊娠率が 16 %から 67 %にアップしています。
ストレスや精索静脈瘤が原因と思われる乏精子症の方には、ぜひ試してみる価値がある治療ではないでしょうか。
劣化してDNAが断片化した精子の数は、全体の6~ 19 %くらいといわれています。
それらをきれいに除去し、活性の高い精子だけを選り分けておいて顕微授精に使用するというのは画期的な方法です。
簡便にできるというメリットもあり、今後は超高性能の顕微鏡を使用する顕微授精、IMSIに代わって普及するのではないかといわれるほど注目されています。

精索静脈瘤手術の併用

なるほど。ご主人は精索静脈瘤の手術も受けられているようですが、併用されたほうがさらに確率は上がるでしょうか?
藤野先生 顕微授精をやってみて、もし受精率や分割率があまり良くなければ、時期をみて併用なさってはいかがでしょう。
主治医が顕微授精という選択肢をすぐに示されたのは、精子濃度が 50 万個/ mL というデータに基 づくものだと思います。
もし手術の効果が非常に高かった場合、まだ年齢が 28 歳とお若いですから、通常のステップアップのプログラムに従い、タイミング指導の後、人工授精、体外受精という選択肢もあると思います。
ただ男性でも造精機能が低下している方は、気がついたらある日突然、精子数がゼロに近づいていたという可能性も。
造精機能について詳しく検査しておかれたほうがよいでしょう。やはり早めに顕微授精に進まれることをおすすめします。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。