2 つの施設で受けた精液検査の数値結果が 大きく異なるのはなぜ?

臼井 彰 先生 東邦大学医学部卒業。東邦大学大森病院で久保春海教授の体外受精グ ループにて研究・診察に従事。医局長を経て、1995年より現在の東京・亀 有にて産婦人科医院を開業。2004年より不妊専門の治療センターに。 プロ野球のシーズン中はジャイアンツの応援に夢中な先生ですが、それと同 じくらいに夢中なのが2匹の愛犬(トイプードル)。「行かないで」と足にすが りついてこられると、どこにも出掛けられなくなってしまうそう。
みゃあさん(30歳)からの相談 Q. 私の通院先での精液検査の結果を受けて、主人には男性不妊外来のある医院に定期的 に通ってもらい、精液検査をしてもらっています。2つの施設でそれぞれ5回ずつ検査を 受けたのですが、結果があまりにも違うため、検査方法の違いなのか検査手技の違いな のか、不思議に思っています。私の通院先での結果は運動率/15%(一番悪い時で 4%)、正常形態率/20%前後、男性不妊外来では運動率/50~60%、奇形率/ 20%前後でした。どちらも量や濃度は正常値。私の通院先では男性不妊とのことで顕微 授精に進みましたが、男性不妊外来では自然妊娠も可能とのこと。なぜ運動率にこんな 違いが出るのでしょうか。

精液検査にムラ

複数回行った精液検査の数値が大きく異なるというのは、よくあることなのでしょうか。
臼井先生 精液検査は1回では正確な数値が出ないことがあり、当院では1回目の検査結果が悪かった場合は再検査をしていただくようにしています。
確かに、何度か検査をしても数値にムラがある方はいますね。
量のほか、精子の運動率に差が出るケースもあります。

検査結果に影響するのは?

どのような原因で検査結果にムラが出てしまうのですか?
臼井先生 病的な原因としては精索静脈瘤とか。
精索静脈瘤は、精子の通り道である精管という管の周りの静脈が拡張してしまい、こぶ状になる病気です。
精巣からの血流が滞ったり、有害な物質が静脈を逆流して精巣に運ばれ、精子をつくる能力が落ちてしまいます。
この病気がある人は、検査をした時、数値にムラが出ることが多いようです。
ほかに、ストレスや疲労などが数 値に影響を及ぼすことも。
生活習慣では喫煙も問題です。
検査結果に反映される人もいますが、数値が正常の場合であっても受精率に影響が出てしまうことがあります。
また、このような病気もストレス もなく、まったく健康な状態の場合でも、射精する間隔で検査数値に差が出てしまうことも。
短かったり、長かったり、それだけでも違いが認められることがあるんですね。

精液検査が極端に違う…

精子の運動率が極端に違うのが気になりますが。
臼井先生 そうですね。
一番悪い時が4%だったということですが、WHOの正常基準値が 40 %以上ですから、これはかなり低いです。
15 %前後でも人工授精では厳しい場合もあるので、4%なら顕微授精という選択になると思います。
 一方、男性不妊外来で示された運 動率は 50 〜 60 %とのこと。
これは正常の範囲で、確かに自然妊娠も可能な数値です。
検査した時期もほぼ同時期で、なぜこれだけ差が出てしまったのか、確かな理由はわかりません。
検査を、機械で計測したり、目で計測したりという検査の違いで、機械ではなく、目視で精子を調べることがあります。
熟練した検査技師が目で見て、精子の数や元気に運動しているかどうかを調べるのですね。
もしかしたらそのように、2つの施設で検査方法に違いがあったのかもしれません。

スプリットという考え方

治療はこのまま顕微授精を続けたほうがいいのでしょうか。
臼井先生 どちらが正しいかははっきりといえませんが、精液検査にムラがある場合は受精に障害が出ることもあります。
顕微授精、もしくは卵子がたくさん採れた場合は体外受精と顕微授精、半分ずつトライしてみる。
移植までには時間をおくと思うの で、その間はリラックスして夫婦生活に臨まれて、自然妊娠も期待されてみてはどうでしょうか。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。