移植や排卵誘発はどんな方法を選んだらいいのですか?

40 代で妊娠の可能性を高めるためには、どのような 移植や排卵誘発の方法を選択すればいいのでしょうか。 福田ウイメンズクリニックの福田先生に、 今回は、2名の方の質問にお答えいただきました。

福田 勝 先生 順天堂大学医学部・同大学 院修了。米国カリフォルニア 大学産婦人科学教室留学 後、順天堂大学医学部産婦 人科学教室講師を経て、 1993 年福田ウイメンズクリ ニック開院。プライベートで は先生はゴルフ、奥さまはテ ニスと、ご夫婦でスポーツが 趣味。メジャーリーグ、ヨー ロッパサッカー、ゴルフ、テ ニスなど、テレビでスポーツ 観戦するのもいい気分転換 になるとか。

ドクターアドバイス!

◎ 妊娠率が高いのは凍結融解胚盤胞移植
◎ 卵子を採って凍結おくのも1つの方法
◎ 反応がよければロング法でもいい
◎ 胚の戻し方を工夫してみては?
ダイズさん(43歳)Q.今、低刺激法(クロミッドⓇと1日おきのHMG)で排卵誘発中です。2 ~3 個の卵子が採れると思うのですが、採卵後は①新鮮胚ですべて戻 す、②すべて初期胚で凍結する、③胚盤胞まで育てて凍結する(すべて だめになる可能性もあり)、④また採卵する、の選択肢のなかからどれを 選べばいいのでしょうか。治療は年内と決めています。ちなみに私の通っ ている病院は、年齢が高い人は初期胚で戻すことをすすめています。

凍結胚移植が有効

ダイズさんは胚の戻し方について悩んでいるようです。
福田先生  43 歳という年齢を考えれば、低刺激法で卵巣刺激をするというのは問題ないと思います。
その方法で2〜3個採れれば卵巣の状態はそれほど悪くないはず。
問題は胚の戻し方ですね。

①はすべて新鮮胚を移植する

ということですが、当院でしたら凍結胚での移植をおすすめすると思います。
日本では、新鮮胚移植より凍結融解胚移植のほうが妊娠率が高いというデータが出ているんですね。
以前は凍結というと、「余剰卵があるから凍結してとっておこう」という考え方でしたが、今は初めからすべての受精卵を凍結するケースが増えてきました。
採卵周期後、子宮内膜の状態をきちんと整えてから戻すことで妊娠率が上がると考えられています。
特に年齢が高い方には凍結融解胚移植をおすすめすることが多いですね。

②胚をどこまで育てて移植するか

ですが、妊娠率で考えれば胚盤胞での移植が望ましいと思います。
ダイズさんの病院では高齢の人は初期胚で戻すことをすすめていらっしゃるとのことですが、その方法にこだわることはないのでは。
これまで何回か初期胚で移植して結果が出ていないようなら、次は胚盤胞でトライするという柔軟性があってもいいのではないかと思います。
結論をいうと、当院でのケースでみれば凍結できるグレードの胚盤胞であれば凍結して、子宮内膜を整えてから移植する方法が理想的だといえます。

③胚盤胞

ではすべてだめかもという心配もあるようですが、それは実際に経過をみてみないとわからないので、難しい場合は初期胚という選択になることもあると思います。
胚盤胞でなくても、やはり新鮮胚より凍結胚で移植したほうが妊娠率は高くなるので、凍結して戻すという方法は変わらず、第一の選択になってくるのではないでしょうか。

採卵して加齢をカバーする

④の「また採卵する」ということについてはどう思われますか。
福田先生 戻し方とはまた別の問題ですが、ダイズさんは治療するのは年内いっぱいまでと決めているとのこと。
卵子は、出生時は200万個ほどありますが、思春期には 30 万個、40 歳頃には6万個ほどに。
45 歳頃には数千個と、加齢とともに減少が加速していきます。
徐々に排卵されなくなり卵子が採れなくなってしまうことを考えれば、今のうちに採卵をして卵子を凍結しておくことも1つの方法だと思います。
卵子の状態は後戻りすることはできませんが、子宮内膜の環境はあとで整えていくことができます。
ですから、治療の残り時間を決めているのなら、先に卵子を採って凍結しておき、人工周期で移植をしていく方法も1つだと思います。
ドロシーさん(41歳)Q.今までロング法での採卵を3回、移植を4回しています。1 回目の採卵では受精卵12 個、2回目の採卵では受精卵 7 個、3 回目の採卵では受精卵 8 個できています。グレード も毎回よく、先生も「ロング法が一番質のいい卵子が採れ ます」と言っています。でも、結果が出ていないので排卵 誘発の方法を変えたほうがいいのではないでしょうか。年 齢が高いのでショート法とかがいいのでは?

高年齢のロング法

ドロシーさんはロング法で3回卵巣刺激をされていますが、このまま同じ方法を続けていってもいいのでしょうか。
福田先生  41 歳という年齢でもしっかり卵子が採れていて、受精卵のグレードもいいということ。
僕はロング法でも特に問題はないと思いますね。
「ロング法は年齢の高い人には向かない」ということを聞きますが、その点はどうですか?
福田先生 年齢が高い方でも、ドロシーさんのようにロング法でいい反応をする方もいます。
実年齢と卵巣年齢が違う方もいるのですね。
卵巣年齢が若ければ、ロング法でもいいのではないでしょうか。
先生も卵巣の状態をきちんと評価したうえで、ロング法を選択されているのだと思います。
採れる卵子の数が少なかったり、受精卵のグレードがよくない場合は、卵巣刺激法の変更が必要になってきますが、グレードのよい受精卵ができるということであれば、もう少し同じ方法を試していってもいいのではないでしょうか。

胚移植の選択肢を考える

グレードのよい受精卵でも、なかなか結果が出ないのはどこに問題があるのでしょうか?
福田先生 卵巣刺激の方法に疑問を持たれていますが、問題はその先にあるのではないでしょうか。
質問には移植の方法が書かれていませんでしたが、もしかしたら胚の戻し方に工夫が必要なのかもしれません。
質のよい卵子が採れたら、それをどうするのか。
胚盤胞で戻すのか、初期胚で戻すのか。
新鮮胚、もしくは凍結したものを戻すのか。
凍結胚を自然周期で戻すのか、人工周期で戻すのか。
このように胚の戻し方をどうするかで、結果も変わってくるのではないかと思います。
いい卵子を採るために卵巣刺激法を的確に選ぶことは重要ですが、胚の戻し方も妊娠に大きく影響する部分です。
選択肢や組み合わせはいくつかあるので、試して結果を評価しながら合ったものを選んでいく。
ドロシーさんの卵巣機能はまだ高いようなので、この点にも着目していけば、妊娠されるチャンスは十分あると思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。