1週間後に体外受精を予定。内膜が5~6㎜前後と薄妊娠できるか心配です

子宮内膜の厚さを確認したり、排卵のタイミングを調べたり、 不妊治療には欠かすことのできない超音波検査。 詳しいお話を、美馬産婦人科の美馬博史先生に聞きました。

美馬 博史 先生  1968 年、東京慈恵会医科大学医学部卒業後、同大学産婦人科入局。 1975 年、不妊治療の研究によって博士号取得。1985 年より現職。 「女性の健康はオバリー(卵巣)機能が主役」として、体にやさしい オバリー生活法を提案。『こんにちは! 更年期』『更年期専門外来』 『キレイなわたしをつくるオバリー生活法』など著書多数。日本産科 婦人科学会専門医。日本東洋医学会専門医。日本生殖医学会会員。 日本女性心身医学会会員。たまの息抜きに音楽を聴くのが楽しみ。 森進一ファンで、カラオケの十八番は『おふくろさん』。
うららさん(主婦・42 歳)からの投稿 Q.1週間後に体外受精での胚移植を予定しています。病院で検査をし たところ、薬で調整しているためホルモン値に問題はなかったのです が、子宮内膜がかなり薄く、5~ 6㎜とのことでした。しかも、前回の 検査の時よりも、なぜか薄くなったりしています。移植が中止になった ら……とかなり心配です。このくらいの薄さでも妊娠できるものなので しょうか。

子宮内膜の厚さについて

体外受精を1週間後に控えて、子宮内膜の厚さが5〜6㎜ということを心配されています。
美馬先生 エストロゲンの量が少なく、内膜が厚くなりにくい人は自然周期で採卵するほうがいいと思います。
というのは、排卵誘発剤を使うと内膜の成長と排卵のタイミングにずれが出て、内膜が十分に育つ前に排卵してしまうことがあるからです。
体外受精を行う時の子宮内膜の厚さは8㎜あれば大丈夫だとは思いますが、理想は1㎝以上。
厚さ5〜6㎜の場合、着床しないというわけではありませんが、羽根布団のようにふっくらした内膜のほうが着床しやすいですし、妊娠率も高くなります。
内膜が厚くならない場合は、エストロゲン剤のジュリナⓇなどを投与して、内膜を厚くしてから移植する内膜調整法も検討するといいでしょう。
受精卵を凍結させて内膜調整法を行うことで、妊娠率が 10 %程度アップするというデータもあります。

超音波検査の重要性

子宮内膜の厚さが十分かどうかは超音波検査で確認するのですか?
美馬先生 そうです。体外受精では子宮内膜の厚さのほか、卵胞の大きさが重要です。
卵胞の育つスピードは人によって違い、基礎体温だけでは排卵日はわかりにくい。
そこで、卵胞の大きさを超音波検査で確認するのです。
卵胞が 1.8 ㎝あれば排卵準 備状態なので、LH(黄体化ホルモン)とエストロゲンの値が十分であればGnRHアゴニストを点鼻することで排卵のタイミングをとることができます。
不妊治療では超音波検査が重要なのですね?
美馬先生 はい、この検査がなければ不妊治療ができないといってもいいほど重要です。
超音波検査には、お腹の上から超音波を当てる「経腹超音波検査」と、腟内に入れたプローブから超音波を出す「経腟超音波検査」があります。
不妊治療の場合は子宮や卵巣の状態が詳しくわかる経腟超音波検査のほうが向いています。

超音波の活用範囲

超音波検査は、ほかにはどのような目的で行われるのですか?
美馬先生 当院では、初診の際に卵巣嚢腫、卵巣腫瘍、子宮筋腫子宮腺筋症子宮内膜症などの既往症がないかを調べます。
原始卵胞がいくつ育っているかを調べることもできます。
また、超音波検査では子宮腔の長さも確認します。
子宮腔は一般的には7㎝ほどといわれていますが、人によって5〜 10 ㎝と差があります。
受精卵を子宮に戻す時は、内膜の一番奥から5㎜くらい離れた位置に置くことが着床しやすくするコツなので、子宮腔の正確な長さを知っておくことが重要になるのです。
また、子宮筋腫がある場合は、摘出したほうがいいのか、残したまま不妊治療ができるのかは筋腫の種類によって違ってきます。
また、筋腫を残す場合は、受精卵は筋腫のある場所を避けて戻す必要があります。
このように、子宮や卵胞、内膜の状態を正確に知ることができる超音波検査は、不妊治療では欠かせない検査方法です。
※内膜調整法:ホルモン製剤を使用して、胚移植に適した子宮内膜の状態に調整する方法。
※GnRHアゴニスト:卵胞ホルモンの分泌を抑制する薬。スプレータイプの点鼻薬(スプレキュアⓇ、ナサニールⓇ) が使用される。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。