足りない栄養素を補う

塩谷 雅英 先生 島根医科大学卒業。卒業と同時に京都大学産婦人科 に入局。体外受精チームに所属し、不妊症治療の臨 床に取り組みながら研究を継続する。1994~2000 年、神戸市立中央市民病院に勤務し、顕微授精によ る赤ちゃん誕生に貢献。2000 年 3月、不妊専門ク リニック、英ウィメンズクリニックを開院する。A 型・ しし座。今年から電子カルテを導入し、患者さん一人 ひとりの治療データの蓄積、スタッフ間の情報の共有 がスムーズに。診察室を出てから会計までの時間も一 気に短縮され、患者さんに大好評なんだとか。

ドクターアドバイス

足りない栄養素を 補うための摂取は おすすめしますが、 摂りすぎは効果なしです

現在は、栄養不足が多い?

サプリメントに興味を持つ患者さんは多いですか?

塩谷先生 実際に摂取されている方が多いですね。

サプリメントというのは、食事で不足しているものを補うのが本来の姿。

新鮮な季節の野菜や魚介類などを豊富に食べていれば必要ないものです。

しかし、現代のような飽食の時代だからこそ、食生活の偏りによる栄養不足が問題になっていると思います。

妊娠時に不足する栄養素

どのような栄養素が不足しているのでしょうか?

塩谷先生 まず、妊娠時において特に重要で不足しがちな栄養素の代表が葉酸。

葉酸は、体づくりや胎児の先天性障害のリスク軽減に欠かせません。

妊娠中の人、これから妊娠を考えている人の両方に必要な栄養素ということは、よく知られていますね。

次に不足しがちなのは、ビタミンB、ビタミンC、鉄、亜鉛、マグネシウムなどです。

これらは食生活がインスタント食品や冷凍食品に偏ると不足するので、サプリメントで摂るのは大変いいことだと思います。

それから、最近、当院では受精卵によい影響があるとして、ビタミンDを積極的におすすめしています。

魚などに多く含まれる栄養素ですが、今まで過剰な摂取はよくないといわれてきました。

しかし昨年、信頼できる海外の研究論文で、ビタミンDを摂取するほど受精卵のグレードがよくなるという報告があったのです。

ビタミンDは摂取するのが難しい栄養素の一つなので、やはりサプリメントの利用は有効だと思います。

しかしながら、皆さんにお願いしたいのは、サプリメントばかりに頼りすぎずに、もう一度、規則正しい食事や生活習慣を見直してほしいということです。

特に不妊治療で結果が出ずに治療が長期間に及んでいる方は、ビタミンや栄養が足りてないのではと、考え込んでしまいがちだと思います。

しかし、サプリメントは必要以上に飲んでも効果が得られないばかりか、かえって逆効果なこともあるので気を付けましょう。

たとえば、水に溶けずに体内に蓄積されるビタミンAなどは、摂りすぎると害があるので気を付けないといけないものの一つです。

摂りすぎると胎児の先天的な異常にもつながります。

ビタミンAを摂取する時は、体内に入ってビタミンAの働きをするカロテンという形で摂ったほうがいいですね。

逆に、葉酸、ビタミンCなどは水溶性のビタミンなので、いくら摂っても尿から排出されるので問題ありません。

サプリメントの注意点

なるほど。サプリメントを選ぶ際の注意点について教えてください。

塩谷先生 あれもこれもと、何種類ものサプリメントを摂ろうと思うと、結構費用がかかりますので、私が患者さんにおすすめしているのは、妊娠を考えている人に必要と思われる栄養素が、適切な量ですべて1つに含まれているサプリメント。

また、品質のよいものを選ぶことも大切ですね。

化学合成で大量生産されたものには粗悪なものもありますので、どのように製造されているのか厳しくチェックする必要があるでしょう。

クリニックやドクターが推奨するものから選ぶのもいいと思います。

そして、何より普段の生活習慣を大切にすることを忘れないでくださいね。

>全記事がドクター編集!

全記事がドクター編集!

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。