体温は上昇、尿検査も陰性。でも卵胞はそのままです。排卵障害でしょうか?

宮崎 和典 先生  大阪医科大学医学部卒業。学生時代の新生児医療への興味がきっか けとなり、体外受精や不妊治療の世界を志す。同大学産科婦人科講師 を経て、1992年に不妊症、不育症治療専門クリニック、宮崎レディー スクリニック開業。開業当初より泌尿器科の専門医による男性不妊外 来を開設する。A型・しし座。「スタッフみんなの癒しの空間になれば」 と、最近、最上階の院長室に面した庭に網を張って、大きな〝鳥かご〞 を作った先生。「最初は文鳥がいいかな」と現在準備中。
かりんちゃんさん(36歳)からの投稿 Q.出産歴があり、タイミング指導を受けています。今回の排卵についてですが、 9日目で20㎜の卵胞が確認できました。尿検査も陽性でした。ところが11 日目の診察の際、尿検査は陰性になっていましたが、21㎜の卵胞がありました。 「直前なのかもね」と主治医に言われ、12日目に基礎体温も上がったので排 卵したのかなと思っていたのですが、診察してみると21㎜のままの卵胞が確 認されました。体温も上がり、尿検査も陰性、なのに卵胞はそのままなんてい う状態は、排卵障害となるのでしょうか。今後はどのような治療になっていく のでしょう。

黄体化未破裂卵胞?

体温も上がり、尿検査も陰性なのに、卵胞はそのままというのも排卵障害と診断されるのでしょうか。
宮崎先生 おそらく黄体化未破裂卵胞(LUF)との診断になると思います。
卵胞が成長して排卵期が来ても、排卵しないまま卵胞が黄体化してしまうという症状です。
黄体からはプロゲステロンが分泌されるので、体温は上昇して二相性となるため、排卵しているように見えるんですね。
細かいことを言えばいろいろなケースがあって、黄体なのに卵胞のように見える場合や、破裂しないで水腫になってしまう場合など、これらは排卵誘発剤を使った際によく起こります。
しかし、1回の検査でそうだったからといって、必ずしもLUFと診断されるわけではありません。
ただ卵胞が未破裂の場合、やはり卵胞の成熟が順調ではないと考えるべきでしょうね。

月経周期について

36 歳という年齢についてはいかがでしょうか。
宮崎先生 月経周期が 26 日以下くらいになってくると、ちょっと注意が必要ですね。
この方の場合、月経周期が 20 〜 22 日というのは少し問題があると思います。
たしかに9、 10日目くらいで排卵してしまっていると、それは未破裂になる可能性も高いですし、いい卵子が育っていない可能性がありますね。
毎回そうならば、月経になった時点で最初からエストロゲンを服用して排卵を抑制させます。
量が多すぎると今度は排卵が遅れすぎるので、そういう時はHMG製剤など排卵誘発剤を使って排卵を促進する場合もあります。
主治医によっていろいろな治療法をお持ちだと思いますね。

やるべき検査は?

先生なら、この先どのように治療を進めるのがよいと思われますか。
宮崎先生 超音波検査で卵胞の経過をみることが基本ですが、私は同時にヒューナー検査が有効だと思います。
要するにタイミング療法というのは、タイミングが本当に合っているのかどうか、尿検査だけではなかなかわかりにくいものです。
本当に合っているかを何度か確認する必要があると思います。
ヒューナー検査は基本的に頸管因子や抗精子抗体の存在をチェックする手段ですが、その時に排卵しているかどうかもチェックできるし、頸管粘液の状態などからいろいろなことがわかるメリットがあります。
当院ではタイミング指導の場合、3回くらいはヒューナー検査を受けていただき、結果によっては人工授精などの治療をおすすめする場合がありますね。
※抗精子抗体:通常、排卵期になると頸管粘液の分泌量が増え、精子が子宮頸管を通過しやすくなるが、この粘液の分泌量が少ない場合がある。またこの粘液中や子宮、卵管内に精子 の運動能力や受精能力を奪ってしまう物質が産生されることがある。この物質が抗精子抗体。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。