生活や個人によって基準はそれぞれ。時にはジャンプアップも提案します

藤野 祐司 先生 大阪市立大学医学部卒業。 米国留学、同大学医学部婦 人科学教室講師を経て、 1997年にクリニックを開 業。現在、同大学で非常勤 講師も務める。B型・おと め座。サツマイモやズッキー ニを使ったカレー作りにハ マっていた先生。ご家族の 要望でそろそろ新メニューを 検討中だとか。次はスチー ム料理や、スイートポテトに も挑戦したいそう。

それぞれの選択肢

先生はステップアップについていろいろな選択肢をお持ちとお聞きしました。

藤野先生 治療を受けるご夫婦に合った医療があってもいいのかなと思っています。

皆が同じ考え方・やり方でなければならないのかといえば、決してそうではないと思います。

たとえば、今までの治療歴、ご夫婦の年齢やご結婚されてからの期間、もちろん妊娠しにくい原因などだけでなく、女性がお仕事をしているかどうかといったことまで含めて参考にさせていただいて、治療方針を決めていくことが大切ではないかと思っています。

リスクも併せて説明

突きつめれば、ライフスタイルまで参考にされるということですね。

藤野先生 そうです。

個人にもいろいろな考え方があります。

ステップアップについては、まず結果に対して「ご夫婦はどうしたいのかな?」ということを汲み取っていく必要が
あります。

もちろん皆さんが一番に望むことは、早く妊娠することです。

しかし、妊娠に至るプロセスを大切にしたいと考えているご夫婦もいれば、プロセスよりも結果を優先したいというご夫婦もいる。

だから、ゆっくり時間をかけてお話しするなかで、ご夫婦の気持ちをできる限り尊重しながら、それに合った治療を提案する。

だたし、それはご本人任せということではありません。

ご提案するからには、結果に対するリスクも一緒に背負うことが医療者の責任だと思っています。

最初から体外受精もあり得る

具体的には何を基準にステップアップを考えられますか?

藤野先生 何を基準にするかは非常に難しいですね。

まず、最初に必ず聞かれるのは妊娠率ですので、タイミング療法5%、人工授精 10 %、体外受精 25 〜 30 %と、おおまかに説明しています。

あとはご本人の年齢にもよるでしょうか。

ただ、このタイミング療法⇒人工授精⇒体外受精というステップアップの流れは、一般に広く受け入れられてはいますが、果たしてこれがすべての人の結果に結びつくのかといえば、疑問です。

この間には、通院の負担やご夫婦内の葛藤、あるいは奥さんが治療のために仕事を辞めざるを得なくなるといった、個人的な事情が関わってきます。

このステップアップが精神的なストレスになるのであれば、体外受精という選択肢もありだと思っています。

たとえば極論として、結婚3年目で排卵周期、基礎体温、性交渉もきちんとあるのに妊娠しない人の場合、ヒュナー検査で精子の十分な働きが確認できれば、おそらく原因は卵管のピックアップ障害による受精障害と考えられます。

そうなればステップアップではなく、ストレートに体外受精をすすめることもあります。

いわゆるジャンプアップですね。

もちろん、いきなり体外受精を切り出すのは、僕も勇気がいります。

でも、そういうお話をしていくべきだと思っています。

特に 40 歳前後の人は、時間が限られます。

あまり画一的な治療にこだわりすぎると、その人にとって一番大事な時期を逃すことになるかもしれませんから。

※ヒュナー検査:性交後、子宮頸管粘液を採取して、精子や頸管粘液の状態を調べる検査。

※ピックアップ障害:排卵し た卵子を卵管内に取り込む機能がうまく働かない状態。原因の一つに卵子をピックアップする役割をもつ卵管采の癒着がある。

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