成熟卵を多く採ることよりも、患者さんに合った卵巣刺激法を選ぶことが大切

吉田 淳 先生 愛媛大学医学部卒業。産婦人科・泌尿 器科医。東京警察病院産婦人科、池下 レディースチャイルドクリニック、東邦大 学第一泌尿器科非常勤講師などを経て、 1999年木場公園クリニックを開院。不妊症治療の情報収集のため、アメリカ や日本国内の不妊症専門施設の見学・ 研修を数多く積んでいる。この秋は日本 一過酷といわれる山岳耐久レース、通称 「ハセツネCUP」の71.5kmの部に参 加し、22時間46分で完走。「自分に 負けたくない、リタイアしたくないと、 最後は〝気持ち〞 で走り切りましたよ」

採卵は目的ではない!

体外受精の際、吉田先生が理想とする成熟卵の数は?

吉田先生 患者さんによって違いがありますから、「何個が理想」と明言することはできません。

一人ひとりの卵巣予備能力が違いますし、どういう卵巣刺激をするかによっても違ってきます。

1個でも大丈夫な人はいますし、8個は欲しいと思う人もいますが、多ければ多いほどいいという問題でもないと思っています。

たくさんの成熟卵を採ることがゴールではありませんから。

当院は高刺激が主流と思われているようですが、実は半分は低刺激です。

「高刺激で、とにかくたくさん採ろう」という方針ではありません。

成熟卵をできるだけたくさん採ることだけを目的にせず、それぞれの患者さんに合った卵巣刺激をするということを最も重視しています。

卵巣刺激に関しては「若い患者さんだからロング法」というように決めてかからないことが重要だと思います。

AMHをはじめとしたさまざまな検査で卵巣年齢や予備能力を測り、反応をみながら、1回目で結果が出なければ、また違う方法で刺激してみるというように、患者さんにできるだけ負担をかけないかたちで、ベストな状態の成熟卵が採れるのが理想ではないでしょうか。

受精率の裏にあるもの

子宮内膜の厚さ、顕微授精の受精率についてはいかがですか。

吉田先生 子宮内膜の厚さは、目標としては8㎜。

6㎜程度でも、十分にチャンスはあると思います。

受精率については、当院は低いほうになるかもしれませんね。

ただ、クリニックを比較するうえで顕微授精の受精率を指標にするのは、非常に難しいと思いますよ。

体外受精で済むようなケースをわざわざ顕微授精させているようなところや、卵胞が 14 ㎜以上でないと採卵しないといったクリニックであれば、当然受精率はかなり高くなるでしょう。

精子が極端に少ない難しいケースを多く扱う当院のようなクリニックの受精率は、どうしても低くならざるを得ません。

培養液の使いわけ

培養液の種類についてはいかがですか?

吉田先生 最低でも、2種類には分けています。

複数の培養液を使うようになったのは当院が先駆けではないでしょうか。

仮に8個の卵が採れれば、4個はA社の培養液、他4個はB社の培養液というように分けています。

2種類の培養液を用いれば、手間も2倍かかりますが、リスク分散としては大いに役立つと思います。

一度結果が出ていて、こちらの培養液のほうがよかったとわかっていれば、次回は1つに絞ることもありますが、同じA社の培養液であっても、作られた時期などによって多少バラつきがあるように感じます。

製薬会社によって成分がすべてオープンにされていない以上、何がよかったのか、悪かったのか、さらにどれを用いるかを見極めるのは非常に難しいところでもありますね。

体外授精の最新記事

>全記事がドクター編集!

全記事がドクター編集!

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。