凍結胚盤胞移植がベスト
体外受精の際、こちらのクリニックではどのような形で移植をすることが多いですか?
吉田先生 可能な限り胚盤胞まで育てて移植する場合が多いですね。
2〜3年ほど前から1個胚移植というのが推奨されるようになりました。
妊娠率を下げずに1個胚移植にチャレンジするためには、胚盤胞で移植することがベストだと考えています。
なおかつ、凍結させたほうが妊娠率が高い。
昨年の当院のデータでは新鮮胚移植が 27.1 %、凍結胚移植が 42.9 % という妊娠率でした。
胚盤胞まで育てるコツ
受精卵を胚盤胞までうまく育てるためのポイントはありますか。
吉田先生 当院では、すべて同じ培養液を使って培養するのではなく、必ず2種類の培養液を使い分けるようにしています。
同じ方でもいくつか卵子が採れれば、それを2つに分けて、それぞれ別の培養液で育てます。
卵子との相性もあると思うので、培養の段階でもそのようにして可能性を広げたいと考えています。
また、胚盤胞までは育つためには卵子の力も必要ということで、薬以外でも卵子の質を上げる工夫をしています。
DHEAやメラトニンなど、アンチエイジング系のサプリメントを何種類か取り寄せて患者さんにおすすめしているのですが、卵子が採れなかった方が採れるようになった、受精後の胚の分割がスムーズになったなど、ある程度改善される方もいらっしゃいます。
特に年齢の高い方は胚盤胞まで育ちにくいので、排卵誘発の方法を含め、いろいろと試してみますね。
胚の分割スピード
胚の分割スピードは5日目で胚盤胞になるのが最もよい、と思っている方が多いようです。成長の進み具合と妊娠率は関係がありますか。
吉田先生 胚盤胞になるのに5日目でなる方と6日目でなる方がいらっしゃいますが、妊娠率をみてみるとそれほど差はないんですよ。
6日目であっても5日目と同じように3〜4割の妊娠率が得られるので、当院では7日目までみることも。
一般的には遅いスピードですが、それでも胚盤胞まで育てば力のある受精卵ではないかと思っています。
例は少ないと思いますが、4日目で胚盤胞など、逆に普通より早い場合はどうなのでしょうか。
吉田先生 スピードが早いからいいとは言いきれないような気がします。
それよりも形態のほうが重要ではないでしょうか。
早めに胚盤胞になりかけたら、もう少し培養して待ったほうが子宮内膜に着きやすいかもしれません。
着床の際、ハッチングといって透明帯がポンと割れて子宮の内膜に入り込んで接着するので、ある程度成熟した胚盤胞を移植したほうがより妊娠しやすいのではないかと思いますね。
胚盤胞まで育たない方はどのような方法をとっていますか?
吉田先生 工夫をしても胚盤胞まで育たない方は、Day3の段階で凍結して、2〜3個の複数個戻して妊娠率を上げるようにしています。