着床率が高いのは一度凍結させた胚の自然周期での移植だと考えています

着床率が高いのは 一度凍結させた胚の 自然周期での 移植だと考えています

田中 温 先生 順天堂大学医学部卒業。越谷市立病院 産科医長時代、診療後ならという条件付 きで不妊治療の研究を許される。度重な る研究と実験は毎日深夜にまで及び、 1985年、ついに日本初のギフト法による 男児が誕生。1990年、セントマザー産 婦人科医院開院。日本受精着床学会副理 事長。2009年度よりJISARTの理事長 に就任。充実した医院のHP。その中のコ ンテンツ「ABC不妊治療 Q&A百科事典」 では、不妊治療に関するさまざまな疑問 に、田中先生をはじめ、医院のドクター、 スタッフがしっかりと答えてくれている。

凍結胚?自然周期移植?

先生は新鮮胚と凍結胚、どちらのほうが妊娠率が高いと考えますか?

田中先生 胚移植を行うには、まず、排卵誘発剤で複数の卵子を採取しますが、その時期は内膜の状態が安定せず、着床がうまくいかない場合もあります。

新鮮胚移植の場合、移植は採卵周期で行いますから、成功率が高いとは言えませんね。

そこで現在、注目されているのが、全胚凍結・自然周期胚移植です。

胚は、自然周期で移植すると着床率は高くなります。

次の自然周期までに受精卵をよい状態に保存するために、凍結を利用するのです。

現在、日本では凍結胚移植の成功率が3割を超えており、世界でトップの成績です。

凍結するタイミングは?

受精卵を凍結する場合、ベストなタイミングがあるのでしょうか?

田中先生 先生方のなかには、胚盤胞の状態で凍結させる方もいらっしゃいますが、私たちは、胚盤胞の一歩手前の桑実期胚や、8分割期で凍結させ、解凍後1〜2日ほど培養し胚盤胞にして移植する方法をとっています。

それはなぜか。

まず1つ目は、胚盤胞まで順調に成長する受精卵が少ないということ。

しかし受精卵のなかには、成長段階でレスキューできるものもあり、それを早い段階で凍結させ、丁寧に培養することで、よい胚盤胞まで育てられるからです。

ちなみに受精卵の成長スピードはさまざまですが、採卵から5日ほどで胚盤胞になるものが一般的。

それが極端に早いもの、遅いものは胚の質に関わるので、見極めが重要です。

2つ目の理由は、胚盤胞の状態では胚の中に空洞ができ、複雑な構造となり、凍結のスピードが落ちてしまいます。

胚盤胞での内腔をペチャンコにつぶした状態で凍結させることもあります。

それは胚にあまりよいことではないのではと私は思います。

移植のタイミングは?

移植するタイミングも考えたほうがよいでしょうか?

田中先生 タイミングは非常に大切です。

月経が規則正しい人は自然排卵のタイミングを見つけるのが一番よいでしょう。

また、 40 歳以上の方は、ホルモン剤で卵巣の状態や子宮内膜を整えられるホルモン周期がよいと思います。

子宮内膜の厚みについて

着床には子宮内膜の状態も関わってきますか?

田中先生 そうですね。一般に内膜は 10 ㎜くらいが平均で、厚みのあるほうが着床率が高いとされています。

しかし内膜には非常に個人差があり、厚みの調整は薬でもしにくいとても難しいところなのです。

かつて 41 歳で、しかも3㎜の内膜で無事に着床した方もいらっしゃいました。

薄くても、妊娠は可能なのです。

ここで無理に薬を増やして内膜の厚みをつくらねば、と考える必要はないでしょう。

それよりも移植で大切なのは、自然周期で元気な胚を戻すこと。

しっかり排卵誘発を行い、複数の受精卵のなかからベストな受精卵を凍結させ、いい胚に育て、自然周期で戻すことが大切だと考えます。

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