遠距離通院で着床結果もまちまち……今後どうすればいい?

内田 昭弘 先生 島根医科大学医学部卒業。同大学の体外受精チームの一員として、 1987年、島根県での体外受精による初めての赤ちゃん誕生に携わる。 1997年に内田クリニック開業。1階は奥様が副院長を務める内科・胃 腸科、2階が婦人科。地域の産婦人科医と連携を取り、専門性の高い 不妊治療に積極的に取り組む。O型・おひつじ座。ジャニーズの嵐の大 ファンで、なかでもお気に入りは大野君。理由は「彼は芸術にも長けて いてすごく多才なのに、それを表に出さない謙虚さが好きなんだよね」。
くーちゃんさん(39歳)からの投稿 Q.2つの病院で体外受精しましたが、前者は「着床したわけでは ない」。後者は「着床したが育たなかった。同じ方法を繰り返す しかない」と言われました。仮に後者が正しいとしても5回の うち3回も同じことが起きていて、同じ方法を繰り返すことに 不安を感じています。抗リン脂質抗体とは関係ないのでしょう か? どちらの病院も遠方で、年齢的にチャンスもわずか。今 後どうすればよいでしょうか。

疑問を持ちながら進めない!

遠方の2つの病院に通っています。

内田先生 まず大変だなと思ったのは、近くに相談できる先生がいないことです。

なぜなら、ご本人は抗リン脂質について疑問があるのに、2つの病院はそれに答えてくれていない。

でも聞きに行くには遠すぎるということですよね。

僕のところにも他のクリニックとかけもちしている人がいて、その病院で自分がどんな治療を受けているのかわからなくて、僕のところに来て聞くの(笑)。

「自分が納得して進んでいるか? 納得していないところを確認しているか? 確認した時に期待する答えを返してくれるか?」。

この3つを意識するといいと思います。

そして、医師も患者さんの疑問をしっかり聞いて、しっかり答えを返してあげるような診療ができると理想的ですよね。

なかなか難しいとは思いますが。

ちなみに、抗リン脂質抗体が陽性 だからといって、すぐにこれを流産と結びつけることはしないです。

ご夫妻がここで引っかかっているのであれば、そういう意味でも、すぐに血液検査を受けられる病院が近くにあるといいですね。

ここをクリアすれば前進できるわけですから。

説明が不足している?

先生は、2つの病院での結果をどうお考えですか?

内田先生 最初の先生が「着床したわけではない」と本当に言い切ったのかな?

ニュアンス的なところが気になります。

着床していないという判定が出るわけではないので。

だから「着床したけど、育たなかった」という2人目の先生のニュアンスが近い気がします。

最初の先生もそういう話をしたけど、これを陰性と言い切ったのは、「これを着床と考えずにいきましょうね」みたいな感じだったんじゃないかな。

着床したというと、流産したと考える可能性があるでしょう?

だからそうではないよという意味で、ちょっと言葉足らずだったのかもしれません。

今後、どうすればよいでしょう。

年齢と卵巣予備能から考える

内田先生 まずは、AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査を受けてほしいですね。

40 歳を迎える人なら、この検査によって進む道が変わると思います。

40 歳以上でも数値が 15 以上であれば、回数よりもポイントを絞った治療がいいと思います。

低ければ、いくら排卵誘発剤を使っても多くて3〜4個しか採れないと思うので、治療回数にかけるという進み方が必要かもしれません。

要は、今の方法以外の選択肢もあるということ。

それと、体外受精で受精卵になるのになぜ顕微授精をするのかと思います。

この方のデータを見ると、どちらも顕微授精による胚盤胞なので、もしかすると、それも一因にあるかもしれません。

卵子が育つ可能性はあるので、あとは、顕微授精でいいのか?

その見直しがあってもいいかもしれませんね。

※抗リン脂質抗体:自分の体を構成している細胞成分に対し免疫反応を起こし作られる抗体を自己抗体といい、抗リン脂質抗体はその1つ。この抗体によっ て、動静脈で血栓が形成されやすくなり脳梗塞や静脈血栓症を起こしたり、胎盤の血流が悪くなり流産を起こしやすくなったりする。血液検査で抗体の有 無を調べる。

 

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