タイミングをとるだけでは自然妊娠の可能性は低いでしょうか?

藤野 祐司 先生 大阪市立大学医学部卒業。米国留学、同大学医学部婦人科学教室講 師を経て、1997年にクリニックを開業。現在、同大学で非常勤講師 も務める。B 型・おとめ座。歴史や鉄道模型など、さまざまなことに興 味を持ち、趣味の範囲が広い。最近ハマっている料理については「下準 備、段取り、調理、洗い物をしながら片付け。これって、昔やった遺伝 子解析の実験を思い出すんですよね」。
うぼぼさん(37歳)からの投稿 Q.タイミング3周期で妊娠に至らず、現在生理中。精液の所見と ヒュナーテストの結果から、医師には3周期に入る前、①不妊 の原因かどうかはわからないが、子宮内膜ポリープを切除する ②人工授精 ③このまま様子をみながらタイミングをとる、とい う3つの選択肢を出されました。子宮卵管造影検査の結果、卵管には異常ありませんが、やはりこのままタイミングをとるだけ では可能性は低いでしょうか。早く授かりたいと思っています。

精子所見・排卵・子宮環境

このままでは妊娠できないと、治療に限界を感じていらっしゃいます。
藤野先生 答えは一つかもしれません。
まずは子宮内膜のポリープを切除し、次に人工授精の治療へと進むことをおすすめしますね。
その理由には、次のようなことが挙げられると思います。
ご主人の精子のデータを拝見すると、少し運動率が低めです。
普通なら運動率 50 %以上というのが基準値になるので、精子無力症に近いですね。
そうすると、何らかのかたちでそれを改善する必要がある。
人工授精が有効な方法かと思います。
もう一つは、排卵に関する問題。
月経周期が 25 〜 28 日と、周期が少し短めかなという気がします。
もちろん排卵日がいつかということは判断しにくいのですが、仮に排卵が 12 〜14 日目ということであれば、高温期も短めという可能性があります。
これも妊娠・着床においてはマイナス要因になるでしょう。
排卵後に、黄体機能ホルモンを補う薬を飲んでおられるということですが、やはり黄体機能不全もあるのかもしれませんね。
それが月経周期の乱れに関係しているのかもしれない。
そして子宮内膜のポリープ。
着床というのは子宮の内膜に着床するわけですが、ポリープがあると、どうしても子宮の内膜のスムーズさというものに欠けます。
内膜は、ビロードみたいになめらかになっているのが一番理想的な状態なんです。
ですから、小さなポリープが一つあるだけで、着床しにくくなる可能性があります。

人工授精で対応可能か?

なるほど。先に手術をして子宮の環境を整えてから、人工授精というのが理想的ということですね。
藤野先生 そうです。現在はタイミング療法をされているようですが、精子を遠心分離して濃縮処理をする人工授精は有効な方法だと思います。
精子の運動率が悪いということで、すぐに体外受精、顕微授精へという考えもありますが、ご主人のデータを見る限りでは、人工授精をやってみてからでもいいのではと思いますね。
人工授精においては十分な数値とお見受けしますから。

ご主人の年齢も考えて!

お二人の年齢についてはいかがですか? ご主人は 42 歳です。
藤野先生 年齢とともに精子の量も減少していきます。
精液量が 1.0 mL ということですから、少なめです。
これが 0.7 mL 、 0.5 mL とだんだん減ってくると、人工授精を目的として精液を濃縮洗浄した場合に集まってくる元気な精子の量も減ってきます。
ご夫婦の年齢を考えると、スムーズな計画を立てて、できるだけ早い時期での妊娠を目指していただきたいですね。
※ヒュナーテスト:性交後、子宮頸管粘液を採取して、精子や頸管粘液の状態を調べる検査。
※精子無力症:運動している精子の割合が50%未満である場合のこと。自然妊娠の可能性が低くなる。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。