HCG注射にはどんな効果がありますか?

不妊治療の際に行われるHCG注射。 これにはどのような作用や効果があるのでしょうか? 福田ウイメンズクリニックの福田先生に伺いました。

福田 勝 先生 順天堂大学医学部・同大学院修了。米国カリフォルニア大学産婦人科学教室 留学後、順天堂大学医学部産婦人科学教室講師を経て、1993年福田ウイメ ンズクリニック開院。「患者さんの意向に応えるのがプライベートクリニック」 という考えは開院当時から変わらない。排卵誘発の方法は「これが絶対」と 決めているものはなく、年齢と卵胞の状態を主な判断基準に、それぞれのメ リット・デメリットを考えながら患者さん一人ひとりに合った方法を選択していく。O型・みずがめ座。

ドクターアドバイス

排卵を起こす、子宮内膜を調整する。 HCG注射には二通りの使い方があります。
みーこさん(主婦・33歳)からの投稿 Q.排卵日の特定が難しいことや黄体機能不全が問題で、 今回2回目の人工授精にトライ。今回は排卵をよりはっきりさせるために、 点鼻薬と人工授精の20 分後にHCG注射を打ちました。 そして、2日後からデュファストンⓇを服用しています。 普段の高温期もそれほど高くなく、前回の人工授精後の高温期でも 36.7度を超えませんでしたが、今回は36.7度を超えています。 今日で 8日目なので毎朝の検温がドキドキ。 これは注射の作用? HCGには高温を保つ効果もあるんですよね?

HCGを使う目的

みーこさんは、人工授精の 20 分後にHCG注射を打ったそうですが、これにはどのような効果があるのでしょうか。
福田先生 少し不思議に思ったのが、人工授精の 20 分後という時間です。
僕にはなぜこの順番でHCG注射をするのか理解できないですね。
担当医の先生は何を目的として使われたのでしょうか。
一般論でお話しすると、HCG製剤を使う目的は二通りあります。
一つは、排卵を起こすために使うケース。
卵胞は成熟すると下垂体からのLH(黄体形成ホルモン)の作用で排卵をしますが、HCGにも同じような作用があり、排卵を促すことができます。
HCGを注射するとだいたい 36 時間後に排卵するといわれているので、人工授精の場合は前日に打つことが多いですね。
もう一つは、HCGには高温相の黄体の機能を活発化させる作用があるので、子宮内膜を調整するために使われることがあります。
黄体機能不全など、黄体ホルモンの分泌に問題がある方は、排卵の確認後、2~3日後に1回、4~5日後に1回……というような使い方をします。
みーこさんは黄体機能不全であり、人工授精の後に打っていますから、黄体ホルモンを補充して、子宮内膜を調整するために打ったのかもしれません。
福田先生 点鼻薬を使われたということ。
おそらくこの点鼻薬は排卵を起こす目的のHCGの代わりに使用されたと考えられるので、注射は子宮内膜を調整する目的だったのでしょうね。
点鼻薬を使うこと自体も、人工授精では珍しいことではないかと思われます。

高温期が続くのは、HCGの効果?

HCG注射の効果か、高温期にきちんと高温が保たれているようですが……。
福田先生 HCGは黄体を刺激するので、注射後は高温期が長く続くことが確かにあります。
1週間くらいは薬の作用だと思いますので、その間に妊娠検査薬で調べると陽性反応が出る場合があります。
それよりも、みーこさんは高温期に 36.7 度を超えることを目安に考えていらっしゃるようですが、これはちょっと違うのではないかと思います。
体温のベースは人それぞれ違うので、何度以上とか何度以下ということではなく、低温と高温の差が重要なんです。
その差がだいたい 0.3 度以下ならば、黄体機能不全である可能性が高いということです。
基礎体温計表には見やすくするためのラインが何本か入っていると思いますが、その1つが 36.7 度だったの で、もしかしたらそれが目安だと思われたのではないでしょうか。
基本的なことでもわからないことがあれば、担当の医師に聞いてみるといいですよ。

黄体機能不全

みーこさんは黄体機能不全が不妊の大きな原因のようですが、妊娠できる状態に改善していくためには、どのような治療がありますか?
福田先生 黄体機能とひと言で言っても、この機能には、卵巣黄体機能と子宮内膜機能という2つの種類があります。
ですから、これらのどちらかではなく、きちんと流れに沿って治療をする必要があります。
まず、卵胞の発育過程に問題がある卵巣黄体機能不全の場合は、ちゃんとした成熟卵胞をつくって排卵するように、クロミフェンなどの排卵誘発剤を使用する。
生理5日目から数日間服用します。
みーこさんの場合も、クロミフェンで卵胞の発育を促してみるのも一つの方法です。
それから、子宮内膜機能不全。
これは超音波でみて子宮内膜の状態が悪かったり、黄体ホルモンの値が 10以下という方の場合ですね。
クロミフェンを使っても状態が改善されない時は、排卵後にホルモンを補充して黄体機能の維持を図ります。
デュ ファストンⓇなどの薬を内服したり、HCGを2~3日おきに注射して黄体の機能を活発化させ、子宮内膜を整えます。

治療内容を理解する

何の薬を使うか、どの時期に使うか、その方の状態に必要な意味があるということですね。
福田先生 それは、治療する側も治療を受ける側も、事前にきちんと理解しておくべきだと思います。
なぜ注射を打つのか、なぜその薬を飲むのか、医師は患者さんにわかりやすく説明する義務があります。
患者さん側も、疑問を感じたらどんどん質問していいと思いますよ。
もしかしたらみーこさんは、担当の先生としっかりコミュニケーションがとれていないのかもしれませんね。

人工授精中の卵巣刺激

みーこさんは人工授精で治療中ですが、やはり人工授精でも卵巣刺激は必要でしょうか。
福田先生 人工授精は体外受精に比べると費用はかかりませんが、タイミング療法と違い経済的な負担が生じます。
少しでも負担があれば、僕はその周期は確実に1回で勝負できるように努力します。
その意味では、卵巣刺激をしたほうが排卵をコントロールしやすいと思います。

もちろんうまくLHを見つけられればよいですが、コントロールする必要がある場合もあります。

※デュファストンⓇ:一般名はジドロゲステロン。合成黄体ホルモン製剤で、黄体機能不全などの治療に用いられる。子宮内膜に対し、 プロゲステロンとほぼ同様の分泌腺発育を促進し、受精卵の着床に都合のよい環境を準備する。 

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