【医師監修】石原 尚徳 先生 高知医科大学卒業。神戸大学医学部大学院修了。兵庫県立成人病センター、 兵庫県立こども病院の勤務を経て、2008年より久保みずきレディースクリ ニック美賀多台診療所副院長。不妊治療から周産期・小児医療まで、地 域に根ざした総合的なサポート態勢が整う同クリニックで、副院長として精 力的に活動する。A型・さそり座。クリニックではヨガや気功の教室に加え、 今年3月から鍼治療を導入。統合医療にも力を入れている。
naoさん(41歳)からの投稿 Q.卵胞刺激ホルモン(FSH)の値が38と高い うえに、閉経が近く、妊娠は難しいと言われ ました。値を下げる方法はありますか? 何 か対処法があれば、教えてください。
高FSHへの評価
このFSHの値だと、やはり値を下げるのは厳しいのでしょうか?
石原先生 1回だけの検査で、難しい、ダメですとは言えませんが、2回続けてこういう値が出るようであれば、難しいのかなと思いますね。
抗ミュラー管ホルモンのレベルや卵巣超音波所見などをもとに総合的に卵巣予備能を評価する必要があります。
ただ、本人の妊娠への希望が強ければ、エストロゲン療法や ※ カウフマン療法でFSHの値を下げる治療をして、その後のリバウンドや、外からの投与で卵胞が育ってくるチャンスを狙い、タイミング療法、人工授精、体外受精という形を取るでしょうね。
ただ、このFSHの値と年齢的なことをあわせて考えると、もうタイミング指導というレベルではないと思います。
当然、当院でもnaoさんの担当ドクターのように、妊娠は難しいということも含めてお話しすると思います。
選択肢を考える
諦めることも頭の隅に置いて、治療をしたほうがいいですか?
石原先生 諦めるというのは、妊娠を諦めるだけで、人生を諦めるわけではありません。
今後は夫婦二人の生活を中心に考えていくということです。
現在 41 歳ということは、平均寿命から考えても、まだこの先 40 年あるわけです。
先の人生を考えるのは、とても大事なことだと思いますし、養子縁組のような選択肢など、いろいろなことについて考えてみるといいかもしれません。
無駄のない選択を
何か対処法はありますか?
石原先生 卵巣の機能不全、あるいは卵巣が低反応の状態、そして着床不全。
これらは不妊の最大の要因ですので、1回の外来で治療方針を決められないのが現状です。
40 歳を過ぎても「人工授精しかし ません」という方もいらっしゃいますし、そういう場合ももちろん検査結果に対する評価と情報の提供はいたします。
もしかすると、naoさんの場合は体外受精よりも人工授精のほうが、無駄のない選択なのかもしれません。
経済的、精神的、身体的な負担を考えると、ですが。
人工授精ですか?
石原先生 担当のドクターの考え方にもよりますし、難しいのですが、この状態が長く続いているのであれば、「体外受精しましょう」とは簡単に言えないですよね。
マイルドな刺激法を使ったとしても、採卵というリスクをともないますので