流産は子宮奇形のため?このまま不妊治療を続けて大丈夫?【医師監修】

【医師監修】宮崎 和典 先生  大阪医科大学医学部卒業。学生時代の 新生児医療への興味がきっかけとなり、 体外受精や不妊治療の世界を志す。同 大学産科婦人科講師を経て、1992年に 不妊症、不育症治療専門クリニック、宮 崎レディースクリニック開業。開業当初よ り泌尿器科の専門医による男性不妊外 来を開設する。A型・しし座。もともと海 釣りが好きで、先日、親戚に連れていって もらったトローリングで、80kg級のマグロ を釣り上げたとか!
ぽんぽこさん(30歳)からの投稿 Q. ※ 育症の可能性を指摘され、血液検査や ※ 宮卵管造影検査の 結果、子宮奇形であることが判明。予想もしなかった、ぐにゃっ と曲がった子宮の形にかなりショックを受けたのですが、先生 は「まだ ※ 留(けいりゅう)流産2回目ですからねぇ」という感 じで、あまり詳しい説明がありません。手術も癒着などのリス クがあると聞きますが、私の場合、このまま不妊治療を続ける のと、何か外科的処置をするのと、どちらがいいのでしょうか?

不育症

子宮奇形と診断され、妊娠や出産に影響があるのではないかと心配されています。
宮崎先生 不妊症というよりは、やはり不育症の傾向があると思います。
妊娠はするが、着床しにくい、流産しやすいということですね。
子宮奇形というのは、診断がまだ確立されていません。
いろいろなタイプがありますから、それによって対処の方法も異なるんですよ。

子宮奇形とは

2回流産したということですが、手術しなくて大丈夫でしょうか?
宮崎先生 子宮奇形は、胎児発生の過程で起こる先天的な形態異常で、単角子宮や副角子宮であれば、今のところ外科的処置でそれを直すことはできません。
この方は、手術の選択肢があるようですから、双角子宮や中隔子宮なのかもしれません。
もしこのケースであった場合は、隔壁を取ってつないで成形するという治療方法があります。
流産の確率は下がるけれど、それで不妊症がなおるということではありません。
また、形はよくなっても子宮そのものが小さくなってしまう。
とはいえ、問題は妊娠後、4ヶ月くらいして赤ちゃんが大きく育ってきた頃ですね。
影響があるとすれば、妊娠4ヶ月頃ということですか?
宮崎先生 そうです。子宮の形態異常による不育症の場合は、一般的に流産しにくくなるといわれている中期、すなわち4ヶ月くらいの、子宮がだんだん大きくなり始めた頃に、破水したりして流産するケースが多いんです。
だから、1回目は9週目、2回目は6週目で稽留流産だったというぽんぽこさんは、おそらく子宮奇形が不妊や流産の原因になっている可能性は考えにくいです。
最近は手術に至る例が減少する傾向にありますしね。

染色体異常による流産

それはなぜなのでしょうか?
宮崎先生 やはり不妊の原因となるリスクを伴うからです。
子宮筋腫場合もそうですが、手術には経験や実績のある施設を慎重に選ぶことをおすすめします。
妊娠後は、流産を防ぐ効果があるといわれている薬を早めに投与するなど、とりあえずできることはやってみる。
染色体異常はよくいわれますが、正直、現代の医療では、流産の原因を特定したり、それを治療することは難しいんです。
あまり神経質になりすぎずに、いろいろ試してみるべきですね。
統計学上の確率の話をすれば、2、3回流産しても、その後で妊娠、出産に至る方もたくさんいらっしゃいます。
当院でも、そのようなリスクを冒して手術を必要とする症例はそう見当たりません。
外科的処置は最後の手段と考えるべきでしょう。
※不育症:妊娠はするものの流産や早産、死産などにより生児に恵まれないこと。原因として子宮筋腫などによる子宮の形態異常、黄体機能不全や糖尿病、 高プロラクチン血症などがある場合、細菌感染やクラミジアなどの性感染症のほか、免疫学的異常などによるものがある。 
※稽留流産:子宮内で胎児(妊娠22週未満)が亡くなっているものの、母体には何の症状も現れず、胎児が子宮内に留まっている状態。亡くなった胎 児が子宮内に長く留まることで母体に悪影響を及ぼすことから、子宮内容除去術を行う。
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