胚盤胞のグレードと妊娠率について教えてください

受精卵のグレードを示す数字やアルファベットなどは気になるもの。 今回は、胚盤胞に到達した受精卵の数値について、 福井ウィメンズクリニックの福井先生に伺いました。

福井 敬介 先生  1989年、日本大学医学部卒業。卒業と同時に愛媛大学産科 婦人科に入局、愛媛大学大学院医学専攻科修了。2000年愛 媛大学産婦人科学助教授。2001年、「高度な生殖医療をより 身近な医療として不妊カップルに提供したい」と、福井ウィメンズクリニックを開設する。A型・やぎ座。産科医として分娩 も手掛ける多忙な先生の楽しみは、週に1度のバンド演奏。 担当はキーボード。ビートルズが大好きとのこと。

ドクターアドバイス

朝と昼、検卵する時間で変化する場合もあります。 あくまでも目安と考えてください。
まみさん(会社員・40歳)からの投稿 Q.今月、初めての体外受精の移植をしました。 私が移植した胚盤胞のグレードは4CB。「グレードはあくまでも 見た目の判断なので、あとは受精卵の生命力次第」と説明されました。 アルファベットはAが一番よいというのは理解できるのですが、 数字の意味というのは、クリニックによって違うのでしょうか? 年齢も高いので一度で成功は難しいと思っても、やはり期待してしまいます。

ガードナー分類

数字やアルファベットは、そもそも何を表しているのですか?
福井先生 まず、1から6という数字はグレードを表すものではありません。これは胚盤胞の成長の段階を表しています。
左側のA〜Cのアルファベットが示すのは、内部細胞塊という、将来、赤ちゃんになる部分の細胞の状態、右側のアルファベットは栄養外胚葉という、将来、胎盤になる部分の細胞の状態を表しています。
これら形態の分類はガードナー分類法というもので、世界中で使用されています。
ただ、あくまでも形態の話ですから、すぐにグレーディングにつながるかどうかは意見の分かれるところなんです。
施設によって判定の基準も違うので、患者さんが混乱することもあるでしょう。
一般的に多いのは、だいたい4段階に分けて判定している施設ですね。うちのクリニックもそうです。まず、最も良好なグループがAA、AB、BA。2番目がBB。3番目がBC、CB、AC。4番目がCCです。
これは5日目の胚を見た段階でのグレーディングなので、たとえばこれが6日目になったらどう評価するのかということも考えなければなりません。何日目に胚盤胞になっているかというスピードも大切なので、どのクリニックもそれらを加味して最終的に判定されていると思います。

グレードだけでは判断しきれない

そうすると、まみさんの場合、4CBということは3番目のグレードに判定されますね。
福井先生 はい。あまり良好とはいえないかもしれません。数字のうえの妊娠率をいえば、よくて 25 %くらい。年齢を加味すると、残念ながらもっと下がってしまうんじゃないかな。
ただ、ホルモン環境とか、子宮内膜の状態によって、実年齢と生殖年齢に開きがありますから、諦めるのは早いと思いますよ。
胚盤胞に到達しているところを見ると、そんなに卵巣の状態がよくないわけではないと思います。
年齢の高い人は時間もかかるし、到達しないこともあります。
今後の治療においては、凍結胚にしてストックしておくことも大切。
内膜はある程度、後で育てることができますが、卵のクオリティは保てない可能性がありますから。
どうしても一喜一憂してしまうグレードですが、どのように受け止めればいいでしょう?
福井先生 そうですね。先ほどお話ししたように、成長のスピードが関係するということは、受精卵も少しの時間の経過で変化するということなんです。
たとえば、朝と昼の検卵時間で違ってくることもあれば、見る角度によっても微妙に異なることがある。あくまでも目安だと思ってください。
ワンポイントだけで全体はわからない。確立されたグレーディングがなく、各施設で試行錯誤しているような状態ですから、治療法も少しずつ違ってくるのです。

医療機関との関係

わからないことや疑問に思ったことは、ドクターにどんどん質問したほうがいいですね。
福井先生 はい。患者さんには、具体的なデータまで知りたい方と、そうでない方がいらっしゃいます。
胚盤胞まで到達したことがわかれば、それでOKという方もいれば、データをベースに客観的に詳しく分析してもらいたい患者さんもいる。
どこまで要求されるかによって私たちの対応も変わりますね。
でも、先生はみんな忙しそうでしょう(笑)。患者さんは言いたいことがあっても、なかなか時間がなくて言い切れていないと思うんですよ。
ですから、ドクターだけでなく、カウンセラーと話すことで不安が解消されることもあると思います。
ただし、思いつきで言うのではなく、文章にしてみてください。クリニックの体制にもよると思いますが、当院では気になることを患者さんにメモに書いてきてもらって、お手紙や交換日記のようにしています。
特に受精卵のグレーディングを示しながらご説明する際は、カウンセラーを交えてお話しすることが多いですね。
まみさんのように、最初に勉強して情報を仕入れることは決して悪くないと思います。調べすぎていけないということはない。
でも、僕はカウンセラーを交えてじっくり話すことはとてもよいことだと思います。
しつこく質問していると嫌われないかと心配するかもしれませんが、先ほど言ったように、その場で全部解決しようとせず、お家に帰って文章にしてまた後日、というのがいいんです。
ドクターとカウンセラーが分担して答えることで、より効率よく答えが導き出せることも多い。遠慮せずに質問してください。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。