ステップアップのタイミングは何を重視するべき?

不妊治療のステップアップのタイミングには、 年齢、ホルモン値、治療歴など さまざまなことが影響してきます。 そんななかで、何を重視して次の治療へ 進んでいくのがよいのでしょうか? おおのレディースクリニックの大野先生に 初診時、治療のスケジュールを立てる際に 先生が重視していることや、 また人工授精について、どんな状況の方に有効か、 回数は何回ぐらいで体外受精へ移ったほうがいいのか、 どんな姿勢や意識で臨むべきかなど、 詳しいお話を伺ってみました。
大野 元 先生 岐阜大学医学部卒業。岐阜大学医学部大学院修了。ブリティッシュ ・ コロンビア大学(カナダ)研究員、岐阜大学助手、IVF大阪クリニッ クを経て、1999年8月開業。専門は周産期と不妊で体外受精の エキスパート。O型・おうし座。大学時代からやっているラグビーで は、OBとして後輩を指導することも。忙しい毎日のなかでも、年に 1度の試合は楽しみで、できるだけ参加するようにしているそう。

ドクターアドバイス

総合的な判断をもとにして 過程よりも結果重視の 治療方針を立てています。

治療スケジュールの検討要因

まず最初に、先生が初診時に治療のスケジュールや方針を決める際、確認されることは何ですか?
大野先生 そうですね、年齢、治療歴、不妊歴はもちろんですが、その方の仕事時間や通院時間も確認します。無理なく治療に通っていただけるか、その環境にあるのかどうか、そういったことも考慮するためです。
それら総合的な判断によって、タイミング指導から始めるか、早めにステップアップするのか、それとも最初から体外受精にするのか、といったことをある程度こちらから提示していますね。
特に今までに治療歴がない患者さんの場合に、重視することは何でしょうか?
大野先生 やはりまずは検査の結果ですね。年齢の高い方ですと、ホルモン検査も重視しますが、一般的には、子宮の形状や卵管の状態をみる子宮卵管造影検査に、男性側の精液検査、そして実際に性交した際の精子の様子や頸管粘液の状態などを調べるュナーテスト、この3つをできるだけ早期に検査します。
なかでも精液検査とヒュナーテストは、人工授精をステップアップ治療に組み込むかどうかを考慮するためには大切な検査ですね。

人工授精の採用基準

人工授精にステップアップする場合はどんな検査結果のときですか?
大野先生 精液所見が正常で、ヒュナーテストが不良な場合に限って、人工授精をすすめています。
つまり、子宮内に精子が進入できていない場合は、人工的に精子を子宮内に届ける方法をとります。逆にヒュナーテストが良好であれば、精子が子宮内に進入できていることを意味するので、無理矢理、子宮内に届ける必要はないと思いますよ。
人工授精にステップアップする場合、どんな心構えが必要でしょうか?  また、何回くらい挑戦してから次のステップを考えるのがいいですか?
大野先生 特に必要な意識とか、日常での制限などはありませんよ。人工授精した当日にスポーツしてもいいし、お酒を飲んだってかまいません。夫婦生活も大丈夫です。質のよい卵を育てるためには、変にストレスを感じず、自然体でリラックスしていることが大切ですから。
ただ大事なことは、当然ですが、排卵日に行うこと。そして、できるだけ排卵時間までも合わせて行うことです。卵胞の大きさ、排卵検査薬、血液検査を参考にして、点鼻薬での刺激も加えて、排卵時間を予測します。回数は多くても5〜6回、半年までが目安でしょうか。
当院では、日曜や祝日だからといって日程を延期、または中止するということは避けています。

低刺激の体外受精

では、人工授精が有効ではない場合は、どうすればいいでしょうか?
大野先生 その場合は、やはりまずは低刺激の体外受精に移行することをすすめています。ヒュナーテストが良好な場合も同様ですね。
人工授精をステップアップ治療に組み込むかどうかは、ドクターの間でも意見の分かれるところなのですが、私はあまり人工授精をすすめてはいません。なぜなら人工授精の妊娠率は、体外受精の5分の1程度で、あまり満足な結果とはいえないからです。
必ずしも必要のない検査や治療を省略することで、早期の妊娠に結びつくことは経験的に感じていますから、必要ないと思えばすぐに体外受精へ進むのも選択肢の一つです。そのあたりは教科書的ではないですが、やはりみなさん、早く子どもが欲しくて治療しているのですから、過程よりも結果重視の治療方針を立てることが何より大切だと感じます。
低刺激の体外受精とは、どんなものなのでしょうか?

大野先生 大量の排卵誘発剤、連日の点鼻薬を使わず、自然の周期で排卵される卵子を採取して行う方法です。これだと、 ※巣過剰刺激症候群(OHSS)などの副作用も少なく、体への負担も少なくてすみます。できるだけ排卵誘発剤を使わないので、注射に通う回数も少なくなります。特に、通院時間がなかなかとれない方には、メリットの高い治療法だと思いますよ。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。