受精卵を凍結・解凍すると卵のグレードが落ちてしまいますか?

胚移植を行う際、新鮮胚と凍結卵の融解胚移植では、 卵のグレードに差は生じるのでしょうか? クリニックママの古井先生にお聞きしました。

古井 憲司 先生  1987 年名古屋大学産婦 人科学教室入局後、名古 屋大学付属病院の文部教 官を務める。大垣市民病 院の産婦人科医長を経て、 1998 年クリニックママ開 院。趣味はゴルフで、シン グルの腕前とか。ゴルフを 通じて異業種の仲間たちと 交流して、幅広い知識や情 報に精通するよう心掛けて いるそう。A 型・やぎ座。
月のひかりさん(専業主婦・38歳)からの投稿 Q.海外で不妊治療中です。7月に初めて顕微授精をして3個の受精卵ができ、 1個でも凍結してもらえれば……と先生に相談したのですが、 「高齢なので新鮮胚で戻したほうが確率がいい」、 「凍結して解凍するとグレードが落ちる可能性がある」と説得され、 4分割で 3 個戻しましたが、1個も着床しませんでした。 再度挑戦の予定ですが、また同じ状況になったらどうすべきか 迷っています。日本でのとらえ方はどうなのでしょうか?

凍結卵は、グレードが落ちる?

海外で不妊治療中の月のひかりさんは、現地の先生に「凍結卵を解凍するとグレードが落ちる可能性がある」と言われたそうですが。
古井先生 海外とひと口に言っても国によって状況は違ってくると思いますが、日本の場合でいうと、グレードは落ちないと思います。今は、 ※ラス化法という凍結方法で、技術が非常によくなったんです。
※ガラス化法:卵子や受精卵などに氷の結晶ができて傷めないように、組織内の水分を特別な保存液で置き換え、液体窒素で急速に凍結する方法。
ですから、よい卵であれば凍結保存をして、よい着床状況を作ってあげてから戻したほうが妊娠率が高いと思いますよ。
凍結技術は、病院によってレベルに差があるのでしょうか?
古井先生 凍結は、やはり慣れもあるのですが、日本の病院ではガラス化法がかなり浸透してきているので、第一線で体外受精を行っているところであれば、どこも同じくらいの技術レベルだと思います。

解凍のリスク?メリット?

解凍のリスクについては?
古井先生 ほとんどないですね。2009年の7月に日本受精着床学会でも発表したのですが、当院ではホルモン補充周期で融解胚移植をする際、良好胚のみ単一で移植した場合の妊娠率が 54 ・4%なんです。融解後の卵の生存率も 97 %と非常にいい。
もし解凍して卵のグレードが下がるのであれば、これだけの妊娠率にはなりませんよね。
どのような方が凍結融解胚移植をしていますか?
古井先生 たとえば排卵誘発剤を 打って、E2(エストラジオール)という卵胞ホルモンが高いときは卵巣が腫れて卵巣過剰刺激症候群という危険な状態に陥ることがあるので、逆に凍結保存したほうがいいと思います。
卵巣が腫れているときに妊娠が成立すると、その腫れが長期にわたって続くので、その周期は妊娠させないほうがいい。
それで一度、生理を来させておいて、新たにホルモン補充周期で胚移植を行えば、卵巣は絶対に腫れませんから。

凍結胚のメリット

新鮮胚との違いはないんですね。
古井先生 そうですね。当院の妊娠率は、独自の胚評価と胚移植法により、新鮮単一胚移植で 40 ・9%、凍結融解単一胚移植では先ほど言ったとおり、 54 ・4%と高率です。
それに融解胚移植の場合、子宮内膜に重点をおいたホルモン補充周期を行えば、年齢を問わず高い妊娠率が期待できます。
もちろん新鮮胚でも戻しますが、当院の場合は1個しか戻さないので、余剰卵は凍結します。もし他もよい受精卵であれば、1個目で妊娠して、数年後に凍結した受精卵を戻して2人目を授かることもできますからね。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。