自己注射って?本当に効果はあるの?痛くはないの?【医師監修】

【医師監修】西垣 新先生 島根大学医学部卒業。聖隷浜松病院産婦人科で、体外受精・腹腔 鏡などの不妊治療に従事した後、2003年、西垣ARTクリニック開 業。それぞれが資格をもったスペシャリストであるスタッフが常勤。患 者さんと医療スタッフの距離は近く、「患者さんの年齢、背景に応じた 個別化した治療」を行っていきたいと考えている。誠実なやぎ座のA型。
みずさん 主婦 29 歳  Q. 多囊胞性卵巣症候群(PCOS)でクロミッド2錠 を5日間飲んだのですが、 卵がいっぱいできて強制リセットになってしまい、 先生から自己注射をすすめられました。 クロミッドで卵が大きくならなかった場合、 自己注射でうまくいくのでしょうか?

自己注射って?

みずさんは、医師から 己注射用注射器による自己注射をすすめられたそうですが、具体的には、どういう人がどのような効果を期待して使用するものなのですか?
西垣先生 今、市場で使用されている自己注射用注射器は1種類だけですが、処方の目的は二つあります。
保険適用の一般不妊治療と、体外受精を目的として、自費で行うものです。投稿者のみずさんの場合は、PCOSの人を対象にした一般不妊治療としての使用ですね。
PCOSは多嚢胞性卵巣症候群ともいい、超音波検査で、卵巣に小さな嚢胞が 10 個以上見られ、無月経や生理不順などがあり、ホルモンにも異常が認められるというもの。この症状のある人は、もともと卵胞がたくさんあるので、クロミッドなどの排卵誘発剤に過剰に反応して、卵がたくさんできてしまうことがあります。
しかし、それらの卵は一つひとつが成熟しにくく、排卵もしないことが多いのです。そんな場合には、卵を育てるために、 ※MGの注射という選択になるのですが、多発排卵を起こさないためには工夫が必要です。※HMG:卵胞の発育を促す下垂体性性腺刺激ホルモン製剤。排卵誘発療法に用いられる。 
毎日、少量ずつ投与しながら、卵の成長具合をチェックしていきます。そのため、これまでは毎日の通院が必要だったのですが、自宅でできる自己注射が可能になって、週1、2回の通院ですむようになりました。

自己注射の便利性

仕事のある人や病院が遠い人にとっては、とても便利ですね。でも、自分で針を刺すのは怖いという意見も多くあります。
西垣先生 自己注射用注射器で使う針は 0.03 ㎜という極細で、人の髪の毛 の半分以下。長さも 12 ㎜しかない。細くて短いですから、一瞬チクンとするだけです(笑)。病院で打つ針のほうがはるかに太いですよ。うちの病院で、自己注射を試みている患者さんは「すごくラク!」と、みなさんおっしゃいます。
通院して注射してもらうのに比べて、効果はどうですか?
西垣先生 正しく処方する限り、効果はまったく同じなのです。だって、中身の薬剤は同じですから。やり方を具体的に説明したDVDを見て、一度試してみれば、どんなに簡単かわかるはずです。安心してください。
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