体外受精、転院、人工授精からの再スタート……

すべてのことが次に進むためのステップ。 つらいことも、そう考えるようにして 乗り越えてきました。

結婚前に受けた検査から始まり、 進んだり戻ったりの2年半の治療。 いつも前を向いてきたきょうこさんは もう間もなく出産を迎えます。

結婚したらすぐに 赤ちゃんが欲しい! ブライダルチェックを受診

今から3年前、 32 歳で結婚が決まったきょうこさんは、自らブライダルチェックを受けに行ったそう。

「主人より私のほうが年上だったので。何かあったら彼がかわいそうだなと思って、受けておこうと思いました」

検査は、ごく基本的なものだけでしたが、特に問題はありませんでした。

半年後に二人は結婚。

しかし、結婚して間もなく、実家のお母様から、きょうこさんを産む前に卵管が片方詰まっていたという話を聞かされます。

それで、お母様と同じ病院へ。

卵管が通っていることは確認されましたが、子どもを望んでから1年が経っていることを医師に伝えると、精液検査と人工授精をすすめられました。

きょうこさんは旦那さんと二人で話し合い、とりあえず精液検査を受けることに。

そしてそこで、精子の数が通常の3分の1しかいないという結果が。

「本人はショックを受けていましたね。飲んだ席で友人に『俺、少ないんだ』なんて、あっけらかんと言っていましたが、気を紛らわそうとしていたんじゃないかな。

でも私は、精子の検査は日によって変動があると聞いていたので、あまり気にしないようにしていました」

有名クリニックで 初の体外受精に

いろいろと調べるうちに、ヒューナーテストを受けるといいのではと思ったきょうこさんは、インターネット上でも評判の不妊治療専門クリニックを受診することにしました。

「今の状態のままで赤ちゃんはできるのか。○なのか×なのかということを、私は知りたかったんだと思います」

検査を受け、モニターを見ながら言われた先生の言葉は「いないね」。

ヒューナーテストの良好な結果の例を画面で見せてもらうと、違いは歴然でした。

「精子が3分の1しかいないと言われた時もびっくりしましたが、これはけっこうショックでした。先生には、人工授精より体外授精のほうがいいと言われました」

〝でも、もしかしたら次は違うかも〞。

結果を信じたくなかったきょうこさんは、2日後にご主人と一緒に再びクリニックを訪れ、2回目のヒューナーテストを受けます。

しかし、結果は同じでした。

この結果をどう受け止めるべきなのか、二人で考える間もなく、医師にこの周期で体外受精ができる、明後日に採卵が可能、という話をされます。

「あまりにも早い展開に、主人は〝営業されているみたいだ〞と怒っていましたね。

すぐに体外受精という気持ちにはなれず、その周期は見送りました。

その後、両方の両親にも話したのですが、どちらも〝やってみたら〞と賛成してくれたんです。

ありがたかったですね」

そして翌月、二人は初めての体外受精をすることに決めました。

その周期で胚を戻し、陽性反応が出るも、数値が低いので継続できるかわからないと言われました。

きょうこさんは着床を安定させるため、5日おきに筋肉注射を打つことに。

注射は腕に打つと半日は何もできないほど痛くて、お尻に打ってもらうようにしました。

病院への往復と注射で丸1日かかっても、注射したところがしびれるように痛くても、赤ちゃんを授かるためなら頑張れる……。

そう思ってつらい治療を耐えました。

しかし結果は、心拍を確認できないまま流産……。

「私はクリニックで、先生と直接話をしました。

モニターでも確認しました。

だから〝ダメだったんだ〞と納得できたけれど、主人は信じられなかったみたいで、『他の病院でもみてもらえ』と。

それで別の病院にも行きましたが、やっぱり赤ちゃんは育っていませんでした」

近くの病院に転院し 人工授精からの再スタート

「二人の間で、このままでは終われないという雰囲気になっていました。

でも、クリニックは変えることに。

主人は最初から印象がよくなかったというし、私はいいクリニックだと納得はしていたのですが、治療が長期的になるなら、近いほうがいいと思ったんです」

転院先は、不妊治療もできるクリニック。

不妊専門ではなく、おばあちゃんや子ども連れの人も来ているようなところでした。

不妊治療の人ばかりではないので、待合室の雰囲気が和やかでよかったそう。

体も気持ちもだいぶ楽になったといいます。

そこの先生にこれまでの経緯を話すと、子宮卵管造影検査もせずに体外受精を行ったことに驚かれました。

その先生は、ひと通りの検査を行ってから体外受精をするべきだという考えでした。

検査した結果、特に問題は見つからず、人工授精から治療を再スタート。

4回行いましたが、残念ながら妊娠には至りませんでした。

「でも驚いたことに、今度は、精子の状態がまったく普通だったんです。主人の仕事がうまくいっていたのと、胃腸を悪くして漢方薬を飲んでいたので、それが効いているのかもねと。でもそれだけにこれで妊娠できると思っていたので、4回ともダメだった時はショックでした」

それでもきょうこさんは立ち止まりませんでした。

先生と人工授精は4回までと決めていたので、体外受精にステップアップ。

最初の採卵でできた胚盤胞は1個で、グレードがあまりよくなかったため、2カ月後に2度目の採卵。

5個採卵し、体外受精と顕微授精を半分ずつ行い、受精卵が2個できました。

そして、子宮の状態が安定した2カ月後に1個を移植。

そこでは陽性が出たものの、化学流産

今度こそと、体外受精で2回うまくいかなかった場合は胚を2個戻せるという日本産科婦人科学会の指針に沿って、翌月に2個戻します。

そして、ついにその中の1個が着床して、妊娠!

今、きょうこさんのお腹の中で、すくすくと育っています。

待ちに待った出産を2月に迎えるきょうこさん。結局、不妊の原因が何だったのかは最後までわかりませんでした。

2年半の治療のなかで常に心掛けていたのは、検査結果に落ち込んでも、うまくいかず悲しい気持ちになっても、その気持ちを前向きにリセットすること。

「途中、先が見えないから不安になるし、薬を飲んだり注射をして治療してきたことも、結果が出ないと振り出しに戻ってしまいます。だけど、気持ちをどんどん切り替えていかないと前に進めない。治療中は、メンタルを強くするために自己啓発本ばかり読んでいましたね(笑)。今、治療中の方も、つらいこともすべてが次へのステップになるんだと前向きに考えて、一歩一歩進んでいってほしいと思います」


お腹が大きくなり、性別もわかった7カ月頃から「本当に赤 ちゃんが生まれる」という実感がじわじわと湧いてきたそう。

「今は主人と一緒に毎日お腹の赤ちゃんに話しかけ、誕生の 日を心待ちにしています」と語ってくださいました。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。