夫からみた不妊治療。妻と向き合い、ともに歩いた2年間

夫からみた不妊治療。

妻と向き合い、ともに歩いた2年間――。

お互い見つめ合って、理解し合えた。

それは、神様が二人に与えてくれた大切な時間だったんです。

「協力し合わなかったら夫婦じゃない。相手が苦しんでいるのを放っておくのなら、結婚なんてしなくてもいい……」

不妊治療中、奥様を包み込む温かい錠さんの愛があったからこそ、現在3人のお子様をもつ家族の姿があります。

10年付き合って結ばれた二人を待っていたのは原因不明の不妊……

千葉県在住の白井さんご夫婦はなかなか赤ちゃんが授からず、結婚して2年目に夫婦揃って不妊外来を受診。大学病院2軒を回って検査を受けましたが、妊娠できない原因がわからず、ようやく3軒目に訪れた不妊治療専門の個人クリックで、奥様の卵管に問題があるということが判明。その事実に戸惑いながらも、治療に臨むことになりました。

1年目はまぁ、しょうがないかと楽天的に考えていたのですが、2年目に入り、これはちょっとおかしいなと考えるようになりました」(錠さん)

最初に訪れた大学病院の不妊外来では奥様はもちろん、錠さんも精液検査を受けることに。

「その病院には個室はなく、仕方なくトイレで採りました。なぜ、こんなことまでするのか……。それまで子どもなんて当たり前にできると思っていましたから、僕にとってはショックなことでしたね」(錠さん)

半年後、別の病院も訪れ検査を重ねましたが、はっきりした原因はわからないまま――。親しい友人から「子どもが生まれました」というハガキをもらうたびに落ち込み焦る日々。奥様が考えるのは「何で、私だけ赤ちゃんができないの?どうして」ということばかり……。イライラと悲しさが募り、泣きながらご主人にあたることも多かったといいます。

「主人はいつもそれを黙って聞いてくれて……。きっと同じようにつらかったと思いますが、絶対顔や態度には出さず、冗談を言っていつも明るく振る舞ってくれました」(奥様)

他人にはわからないつらさを分かち合えるのは、同じ目的に向かって走ってくれている夫。でも、なかには真剣に向き合ってくれないという男性もいると聞きます。

「本音を言えば、誰だってつらい場面に向き合いたくはない。そう思うでしょう。投げ出したい気持ちもわかります。しかし、現実と向き合わなければ、何も始まらない。カミさんにあたったり、責めるのは論外なこと。現実を受け入れ、初めて夫婦の強い絆ができるのではないかと思う。お互いが協力しあってこそ、目標に向っていけるのだと思います」(錠さん)

支え合いながらもゴールの見えない不安から子どものいない人生も考え始め、この頃、お二人は犬を飼い始めます。

「妻の心は犬を飼うことで少し癒やされていきましたが、それでも子どもが欲しいという気持ちが頭から消えていない。そんな彼女を見ていてたまらず、〝できることはすべてやり尽くそう.と声をかけました。可能性があるかぎり、最後まで諦めずに頑張ろうと二人で決心したんです」(錠さん)

ご主人の前向きな気持ちに励まされ、奥様の気持ちも心機一転。3軒目の病院でいよいよ本格的な不妊治療に臨むことに。

治療を頑張る妻へは感謝の気持ちでいっぱいでした

「治療を受けている妻に対しては感謝の気持ちでいっぱいでした。痛くて恥ずかしい思いをしているのに、僕は何もできない。二人の未来の子どものために妻は一人でこんなに頑張ってくれているんですから」(錠さん)

注射の跡を一生懸命さすってあげたり、家事を手伝うなど、つねに「ありがとう」の気持ちを忘れなかったという錠さん。1年近く経っても妊娠には至りませんでしたが、夫婦の絆をいっそう深めていたお二人は、その頃にはあまり焦りの気持ちはなかったといいます。

「治療を進めていくなかで、ステップアップの問題はいつも気になっていました。この次に妊娠できなかった場合は……と先生と話してこちらも覚悟していたとき、自然な形で妊娠することができたんです。気持ちが穏やかになっていたせいでしょうか。不思議ですね」(奥様)

そうして誕生した最初のお子さんは、今はもう小学4年生。1年後に次のお子さんが生まれ、その下には3歳の次男も誕生。3人のお子さんと2匹の犬が遊ぶ白井家には、賑やかな笑い声が絶えません。

最後に錠さんが熱く語ってくれました。

「壁は乗り越える為にあります。二人で協力しあえば、乗り越えられない壁はないと思います。乗り越えるごとに二人の絆は強いものになっていく。現実を素直に受け入れ、常に相手のことを考え、信頼し、思いやりを持って接することによって、ゴールを引き寄せます。人は一人では生きていけません。人に支えられて生きています。人に感謝し、けしてあきらめないことが大事です」(これは人生についてもいえることですね)。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。