ひなたさん(31歳)
今月初めての採卵(ショート法)を行い、見えていた卵胞は4個でしたが、取れた卵子は2個でした。
注射開始から6日後くらいまでは卵胞が1つしか育たず、その後10日後くらいには4個まで卵胞が増えました。
2つともふりかけしたところ受精はせずで、培養士からは原因不明と言われました。
また、成熟卵だったかどうかも分からないとの回答でした。
次回採卵時の卵子の質向上を期待してノイトロジンの注射を勧められましたが、何が一番いい治療なのでしょうか?
次は刺激法を変えてみた方がいいのか、卵子の質が悪いのか、原因が何も分からないまま治療をしています。
今後の治療について、アドバイスをいただけると幸いです。
Noah ART Clinic 武蔵小杉の久慈 直昭先生に伺いました。

慶應義塾大学医学部卒。東京医科大学産婦人科学教授を経て、2023年5月より、Noah ART Clinic 武蔵小杉の統括医師に。生殖医療専門医・指導医。臨床遺伝専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
ひなたさんのご相談にお答えします。
体外受精における卵子の質や刺激法についての悩みは非常に多くの方がお持ちです。たとえば感染症の場合、どういう細菌が悪さをして、それに効く薬ははっきりしていますが、体外受精ではどうして卵子が育たないか、成熟しないか、受精しないかなどについては、医師にもわからないことが非常に多いのです。
ただ、論文や経験から多くの患者さんを治療したときに効果がある、という治療法を選択しているのが現状です。このように「試行錯誤」の治療ですので最初から成功するとは限りません。ただ、ある治療法が効かなくても、医師はその理由を何とか考えて次の治療法を考えているはずですので、医師と一緒に考えていく、というのが一番治療としては近道だと思います。
1. 次回の採卵に向けての治療法ですが、うまくいかなかった治療法を少しづつ変えていく方法が一般的です。最初ショート法で卵胞が育つまでに時間がかかったようですから、PPOS法や低刺激法、アンタゴニスト法を試すことが考えられえます。
2. ノイトロジンの注射は、特に採卵数が少ない場合に卵子の質が向上したり、採卵数が多くなるという報告がありますが、その効果には個人差があります。主治医と相談の上、「試してみる」という考え方になると思います。
3. 刺激法を変えることで、卵子の質が変わることは確かにあると思います。その証拠に、3回目までの採卵での妊娠率はそれほど低下しません。
もし刺激法によって取れる卵子の質が変わらないならば、妊娠しやすい人がどんどん抜けていってしまうので、回数を重ねるごと妊娠しにくい人が残り、妊娠率はどんどん低下するはずですが、そうはなっていないのです。
4. 受精率が低く、卵子の成熟度が不明な場合、顕微授精を次回行うことは考えられます。顕微授精の時には、採卵時に卵子を囲んでいる顆粒膜細胞を外して、卵子がよく見えるようにして成熟しているか確認すいるからです。
5. 刺激法をかえて、顕微授精を行い、成熟した卵子がいくつ取れて、いくつ受精したかを確認します。その結果を踏まえて、その次の刺激法や受精法をまた、考えることになると思います。