おもちさん(30歳)
流産経験が3回あります。
再検査、追加検査、薬についてご相談したいです。
現在主治医から提案されている内容は
* 抗リン脂質抗体の再検査
* 低用量アスピリン
* 自然周期+黄体補充への変更
* ミヤBM追加
です。
「抗リン脂質抗体検査は時間がかかるから、検査なしで、アスピリンを使うのもありだ」とのことです。
*抗リン脂質抗体の再検査をするべきか
*アスピリンを使うべきか
*追加で必要な検査、再検査はあるか
アドバイスいただきたいです。よろしくお願いいたします。
小川誠司先生に教えていただきました。
東京ARTクリニック 院長 小川 誠司 先生
2004 年名古屋市立大学医学部卒業。2014 年慶應義塾大学病院産婦人科助教、2018 年荻窪病院・虹クリニック、2019 年那須赤十字病院産婦人科副部長、仙台ART クリニック副院長を経て2023年9月、藤田医科大学東京 先端医療研究センターの講師、2024年4月に准教授に就任。2026年2月から東京ARTクリニックの院長に就任。藤田医科大学客員准教授。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医療学会専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
●抗リン脂質抗体の再検査を行うべきでしょうか?
抗リン脂質抗体は大きく変動することは少ないため、通常は再検査の必要性は高くありません。一方で、まだ実施されていないようでしたら、近年先進医療の対象となったネオセルフ抗体(抗β2GPI/HLA-DR抗体)をはじめ、抗PE抗体や抗PS抗体などの追加検査を検討されてもよいと思います。
●アスピリン使用について、先生でしたらどのようにお考えになりますか?
現時点では明らかな異常所見が認められていないため、アスピリンを使用する十分な根拠は乏しいと考えます。まずは、次の頁でお伝えする追加検査をまだ受けていないようでしたら、それらを実施し、異常の有無を確認することをお勧めします。
●現在の治療提案に加え、追加で推奨される検査があれば教えてください。
おもちさんは30歳とお若く、良好な胚盤胞が得られています。そのため、流産の原因としては受精卵の染色体異常よりも、何らかの不育症関連因子が関与している可能性が高いと考えられます。
自費検査にはなりますが、Th1/Th2比やNK細胞活性などの免疫学的検査に加え、まだ実施されていないようでしたら、慢性子宮内膜炎の評価(CD138免疫染色検査)を受けられることをお勧めします。
●自然周期+黄体補充へ変更について、効果や利点を教えてください。
おもちさんの場合、ホルモン補充周期でも着床し、胎嚢まで確認できており、また自然妊娠でも流産されていることを考えますと、自然周期の移植に切り替えるメリットはあまり大きくないように思います。
●残りの凍結胚の移植に関する最適なアプローチを教えてください。
まずは上記で述べた追加検査を含め、保険診療・自費診療・先進医療を含めて、現時点で実施可能な検査を十分に行うことをお勧めします。
その結果、何らかの異常が認められた場合は、その原因に対する治療を行ったうえで移植に臨むことが望ましいでしょう。
移植方法については、これまで着床し胎嚢まで確認できていることから、同様の方法を継続して問題ないと考えます。
一方、十分な検査を行っても異常が認められない場合は原因不明不育症と考えられるため、症例によっては免疫グロブリン療法などの追加治療を検討する余地があると思います。
●その他、検査・治療データをみて、気になるところがあれば教えてください。
上記の追加検査がまだ実施されていないようでしたら、まずは可能な限りすべての検査を受けられることをお勧めします。
また、子宮内細菌叢(子宮内フローラ)の異常が認められているため、ラクトフェリンだけでなく、ラクトバチルス(乳酸菌)を含む膣用プロバイオティクスの使用も検討されるとよいと思います。
一般的に、不育症の患者さんでも移植を継続することで約80%が最終的に生児を得られると報告されています。おもちさんは良好な胚が得られていることから、最終的にご出産に至る可能性は十分高いと思われます。
焦らず、保険診療・自費診療を問わず現時点で可能な検査と対策を十分に行ったうえで、次回の移植に臨まれることをお勧めします。