【Q&A】着床後発育不全の原因と自然周期の価値について~蔵本先生【医師監修】

まろんさん(37歳)

2度、着床しているもののその後発育が進まないのは何か原因があるのでしょうか?
また帝王切開の既往や、胎盤遺残が影響しているのでしょうか?原因が特定可能な検査があれば教えてください。

また、医師から「次は自然周期も試す価値がある」とお話がありました。やってみないと分からないとは思いますが、私の場合は試す価値がある状態でしょうか?
2026年3月現在、LH:5.6 E2:33 FSH:7.6です。
意見をお聞きかせください。よろしくお願いいたします。

蔵本先生に質問してみました。

【医師監修】蔵本ウイメンズクリニック 蔵本 武志 先生 久留米大学医学部卒業、山口大学大学院修了。山口県立中央病院産婦人科副部長、済生会下関総合病院産婦人科部長を経て、1990年オーストラリア・PIVET メディカルセンターへ留学。帰国後、1995 年蔵本ウイメンズクリニック開院。JISART(日本生殖補助医療標準化機関)理事長。久留米大学医学部臨床教授。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●着床後の発育不全の原因として考えられる要因を教えて下さい。

まろんさんの場合、最も考えられるのは子宮内環境が悪いことです 。まずは月経終了後、子宮内膜が薄い時期に早めに子宮鏡検査を行って子宮内に異常がないか調べて下さい 。胎盤遺残はすでに除去していますか? 残っていたら取り出す必要があります 。

帝王切開後瘢痕症は、帝王切開によって子宮の筋層にできた傷が開き、陥没して瘢痕となるものです 。ここから不正出血して月経以外の時に褐色の膣分泌物が続き、子宮内に血流や汚い血性分泌物が溜まって、時に着床不全や流産を引き起こします 。
子宮鏡検査で帝王切開後の陥没や血性の分泌物があれば診断できます 。子宮切開部が非常に薄い場合は経膣エコー検査でも確認できます 。まず、子宮鏡ができる施設であれば子宮鏡は必須です 。できなければできる施設で子宮鏡を行います 。
陥没がひどくなく、子宮内に血流がたまっていれば周期の胚移植前に子宮腔内の異常分泌物を慎重に吸引除去して胚移植をします 。それでも妊娠せず妊娠しても流産すれば、帝王切開後瘢痕症の退治手術を行います 。これは保険が効きます 。

また、そのような子宮環境でしたら子宮内細菌叢にも異常をきたして、着床不全や流産になることもあるので可能でしたら子宮内膜が厚い時期に子宮内細菌叢検査(EMMA/ALICE) を行います 。これは先進医療Aで保険と併用できる自費検査ですが福岡県では助成金が出ます 。着床不全や流産の他の原因には胚盤胞の染色体数異常が考えられますが、これは偶然に起こります 。

●帝王切開の既往や胎盤遺残が影響する可能性について教えてください。

帝王切開瘢痕症がないかぎり、帝王切開になっても次の妊娠には大きな影響はありません 。胎盤遺残があれば着床しにくくなるので除去する必要があります 。

●発育不全の原因を特定するための検査方法を教えてください。

  • 受精卵の検査 :  流産の原因の7割は受精卵の染色体数の異常が原因です 。そのために流産をした場合は、流産物の絨毛染色体検査を行います 。
  • 子宮内環境の検査 :  子宮鏡検査で子宮内環境を調べます(癒着、帝王切開瘢痕の有無) 。
  • 子宮内細菌叢検査
  • 血液凝固系の検査 :  確率は低いが血液凝固系の異常がないか検査
  • 甲状腺機能検査

●現在のホルモン値で自然周期を試す価値があるかお聞かせください。

AMH値からは十分な卵子数があるので、胚移植をしない周期はタイミング法を持たれたらと思います。

●自然周期の利点とリスクについて具体的に教えてください。

自然周期とは、タイミング法のことでしょうか? 利点は自然妊娠ですので治療の料金がほぼかからないこと、リスクは特にありません 。

凍凍結胚移植における自然周期のことであれば、まず月経が順調で卵胞が発育して排卵していることが条件となります 。月経が不順な人は、修正自然周期といってレトロゾールを短期間服用して卵胞を育て内膜が7mm以上になれば自然周期での胚移植は可能です 。

これらの利点はホルモン補充周期に比べ、妊娠後半期の異常、とくに妊娠高血圧症候群や分娩時の異常である癒着胎盤や多量出血の頻度がホルモン補充周期より下がります。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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