【Q&A】人工授精から体外受精へステップアップすべき?~宇津宮先生【医師監修】

まるさん(28歳)

①ステップアップについて
夫の精液検査は異常なく、何回まで人工授精をやるべきかすぐ体外受精をするべきか迷っております。なるべく自然に近い妊娠を目指すべきでしょうか?

②クロミッドを内服すると内膜が薄くなると聞きますが、おやすみを挟んだ方が良いでしょうか?

③黄体機能を補うためにできることがあれば教えてください

宇津宮先生に、お話しを聞いてきました。

【医師監修】セント・ルカ産婦人科 宇津宮 隆史 先生 熊本大学医学部卒業。1988 年九州大学生体防御医学研究所講師、1989 年大分県立病院がんセンター第二婦人科部長を経て、1992年セント・ルカ産婦人科開院。国内でいち早く不妊治療に取り組んだパイオニアの一人。開院以来、妊娠数は 9,500 件を超える。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

① 体外受精へのステップアップと人工授精の捉え方
まるさんはまだ28歳ですし、AMH(抗ミュラー管ホルモン)の値も5.3と十分です。内膜ポリープなどの状況を見ても、排卵誘発さえ上手くいけば、自然に近い形で十分に授かれる力を持っています 。

人工授精を検討されているようですが、実は人工授精の妊娠率は約8%と非常に効率が悪いのが現実です 。かつては主流でしたが、現代では射精障害などの事情がある場合を除き、あまり積極的な選択肢とは言えません 。

一方で、体外受精は妊娠率が30〜40%と高いものの、工程のほとんどが人工的になります 。私はなるべく体外受精をせずに済むのが一番だと考えています 。まずは腹腔鏡検査でお腹の中の状態をしっかり確認し、どうしても難しい場合に体外受精へ、そうでなければタイミング法で進めるのが良いでしょう 。タイミング法の場合は、排卵期に2〜3日おきに夫婦生活を持つことが推奨されます。

② クロミッドによる内膜への影響について
クロミッドは排卵を促す力は強いのですが、薬の仕組み上、女性ホルモンに作用する細胞の働きを抑えてしまうため、子宮内膜が薄くなったり、頚管粘液が少なくなったりする欠点があります 。その結果、どうしても妊娠率が悪くなってしまうのです 。

「お休み期間を設ければ良いか」という点については、その周期ごとに薬の影響が出るものなので、休みを挟むことにあまり大きな意味はありません 。当院では、クロミッドよりも妊娠率が高い「FSHの自己注射」を少量ずつ使う方法をお勧めしています 。

③ 黄体機能を根本から改善するために
黄体機能が悪い(数値が低い)原因は、実は「排卵前の卵子の成熟度」にあります 。排卵までに卵子が十分に育っていれば、その後の黄体機能も自ずと良くなるものです 。

デュファストンなどの内服薬で補うこともできますが、それはあくまで対症療法に過ぎません 。根本的な解決策は、「適切な排卵誘発」を行うことです 。月経開始から約2週間で質の良い排卵が起こるよう、クロミッドではなく自己注射などを用いて、しっかりと卵子を育てることが第一歩となります 。

④ 今後の指針
まずは排卵誘発の方法を見直し、可能であれば腹腔鏡検査を受けて、ご自身の体の状態を詳しく把握することから始めてみてはいかがでしょうか 。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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