mさん(43歳)
2025年9月の時点で、TSHが3.44と高く、甲状腺の専門医を紹介されてチラージン25ugを3ヶ月ほど服用していました。
12月11日の時点で数値が0.04まで下がり、甲状腺の先生は移植に進んでもいいとおっしゃいましたが、ここまで低いと妊娠に影響があるのではないかと不安です。
12/11からはチラージンは12.5ugに切り替えて服用中です。
移植に進むにあたって、支障がないのでしょうか?考えられるリスクがあれば、教えていただきたいです。
表参道ARTクリニックの小川達之先生にお伺いしました。
【医師監修】表参道ARTクリニック 小川達之 先生
2009年山梨大学医学部卒業。2016年より山梨大学医学部附属病院産婦人科にて不妊治療にあたる。2024年4月より亀田IVFクリニック幕張に入職、2025年8月より表参道ARTクリニックの院長に就任。ひとりひとり個別の状況に対応し、患者様の立場に立った医療を提供したいという想いを持って日々、診療に従事。医学博士。日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医。日本生殖医療学会生殖医療専門医・指導医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
甲状腺ホルモンは胎児の発育に重要な要素の一つで、
不足することが不良な妊娠転帰につながる可能性があります。
甲状腺機能の評価には、下垂体から分泌されるTSH(
甲状腺刺激ホルモン)と甲状腺ホルモンそのものであるfree T4が用いられます。甲状腺機能が低下するとTSHが上昇し、
freeT4は低下します。TSHが上昇しているもののfree T4が保たれている状態は、
潜在性甲状腺機能低下症と呼ばれます。
チラーヂンは甲状腺ホルモンを補充する薬剤で、その効果はTSHに鋭敏に反映されるため、TSHを指標として投与量調整を行うのが一般的です。投与開始の目安としてTSH 2.5 μIU/mL以上、あるいは4.0 μIU/mL以上を基準とすることが多いです。チラーヂン投与によりTSHがやや低下した状態であっても、通常は胚移植を延期するケースは多くないと思われます。ただし、TSHが著しく低下している場合や甲状腺機能亢進症が疑われる場合には、慎重な評価が必要となるため、甲状腺専門医の指示を仰ぐことが重要です。

男性因子については、精子運動率低下やDFI高値が胚発育や妊娠転帰に影響する可能性が指摘されています。男性不妊専門外来を受診し、精索静脈瘤などの原因検索を行うことや、必要に応じて抗酸化療法、あるいはPICSIやスパームセパレーターといった精子選別法の工夫を検討することが考えられます。