【Q&A】子宮筋腫7cmは手術必須?~藤野剛先生【医師監修】

ゆーさん(30歳)

昨年9月中旬頃に不正出血があり、大きな血の塊も出てしまいました。急遽、一般の婦人科に通院し、止血剤の服用で翌月には落ち着き、現在にいたるまで不正出血は再発していません。
しかし、その時に検査で判明した、原因となった子宮筋腫は7cmをキープしている状況で、現在は経過観察をしています(日常生活では貧血などもなく支障は特にありません)。その際に「筋腫の位置は奥のあたりにあるため、妊娠できなくはない位置だ」と伺いました。

しかし、色々と検査をし、血液検査の値等に問題はないようで、筋腫が不妊に影響していると現在通院中の不妊専門の病院には言われています。卵管造影も子宮が肥大しているせいで造影剤が5mlで入れるところを30ml入れても左側の通過が確認できなかった、とのことでした(右側はきれいに通っているようです)。

現在の病院としては、不妊の視点からいうと筋腫が原因なので手術をするべきだと強く勧められており、妊娠できる可能性が低いのと、仮に妊娠したとしても流産などのリスクがあるからと説明されました。

ただ、仕事をしていてすぐには休めないことや、術後の痛み、復帰がちゃんとできるのか等の不安があったりするため、手術はまだ決断できていない状況です。

手術をするなら開腹か腹腔鏡と言われていますが、7cmの筋腫はもう手術しかないのでしょうか?再発の可能性の話も聞くので、それも不安です。

現在はタイミング法をとっていて、100%ダメなら手術の覚悟をしなければと思っていますが、現状でも妊娠できる可能性があるなら、また、筋腫合併でもみていただける病院のサポートがあり、胎児が筋腫で圧迫されて害がある等のリスクがある程度はコントロールできるのであれば、手術はしない方向でいきたいというのが正直なところです。

自分本位なのは重々承知ですが、現状は手術及び術後に対する怖さや抵抗感があります。今後の方向性について、アドバイスをくださるとありがたいです。
よろしくお願いいたします。

藤野剛先生にアドバイスしてもらいました。

ときわ台レディースクリニック  藤野 剛 先生
帝京大学医学部卒業、帝京大学医学部産婦人科入局。焼津市立総合病院、帝京大学医学部付属病院、大川病院を経て2008年9月ときわ台レディースクリニック開業。一般婦人科にも対応し、地域に根差した診療を心がけています。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

子宮筋腫の位置が具体的にどこであるかですが子宮卵管造影にて左卵管の通過不明であることから左側筋層内にあると推察されます。この位置であるならば卵管閉塞の原因となりまた7cmと比較的大きいことから着床の妨げとなる可能性があります。不妊の原因の可能性大のため、また妊娠中の流産・早産のリスク回避のため手術が勧められます。

術式としては開腹、腹腔鏡いずれでもよいと考えます。開腹の場合は取りにくい場所でも確実に摘出可能でありますが、入院期間がやや長くなります。腹腔鏡下手術では入院期間は短くなります。創部も開腹より小さくなるメリットがあります。

手術せずに妊娠した場合は妊娠中に子宮筋腫が炎症を起こし痛みがでる。または先ほど述べたように流産・早産のリスクがあるため、入院管理が必要となる場合があります。手術をせずに妊娠を目指す場合、30歳と比較的にお若いため筋腫に対し薬物療法を3〜6か月行い、筋腫を縮小させてから不妊治療に臨むことも考慮されてもよいと考えます。今まで私が経験した患者さんでも内科的治療の後に不妊治療を再開し妊娠、出産された方がいらっしゃいます。

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