【Q&A】人工授精後の出血、妊娠の可能性について～稲垣先生【医師監修】

一般的な人工授精用のチューブは弾性の強い樹脂製のことが多く、ゴムやビニールのようなものと比較してやや硬いといえます。子宮は前傾前屈や後傾後屈など、横方向から見るとひらがなの「く」や「し」のように湾曲しており、通常はその湾曲を越えたところまでカテーテルを挿入します。湾曲の強度も個人差が大きく、挿入に難渋することもしばしばです。したがって、物理的な刺激が子宮頚部に加わってしまうことも珍しくなく、出血も珍しいことではありません。理想的には出血がないほうがいいことはいうまでもありませんが。

●人工授精後６〜７日目鮮血、何か特定症状を示唆している可能性はありますか？

出血の原因には様々なものが考えられます。（主に黄体からの）卵巣出血や排卵障害に伴う機能性出血や、内膜ポリープ、子宮内膜増殖症、あくまでも一般論ですが、子宮内膜がんも考慮しなくてはならないでしょう。教科書的にはもっと考えられる原因の候補はあると思いますが、実際に出血しているときにリアルタイムで観察することでより本質に近づけると思います。

●今回出血、人工授精成功率にどのような影響を及ぼすでしょうか？

原因次第ではないでしょうか。単純に処置の刺激で子宮頚部から出血したくらいでは問題ありませんが、子宮内から出血していたりすれば、妊娠の可能性にも影響しうると思います。

●不妊治療を続けるうえで何かアドバイスがあれば、お願いします。

シートを拝見すると、AMHがやや高いと感じます。AMHが高値の方は排卵障害を伴うことが多いのですが、一般不妊治療や人工授精の場合、受胎数が多くならないようにするために排卵刺激が非常にデリケートなものになる可能性が高いです。
通院回数も多くなる可能性も高く、一定治療周期で妊娠が成立しないようであれば生殖補助医療（体外受精ー胚移植）も現実的に選択肢としてご検討されることをお勧めします。