【Q&A】23回採卵も凍結ゼロ~松原先生【医師監修】

カーネーションさん(39歳)

第二子の採卵を23回しています。
あらゆる刺激法をしてきましたが、空胞、受精できない、分割が進まないなど結果凍結できず、これ以上他のやり方はないのかお伺いしたところ「高刺激法(注射の量を増やす)は、まだ未実施のため、次回の治療で」と提案がありました。

下記、心配している点について教えていただきたいのと、それを踏まえて試す価値はあるのかお伺いしたいです。
・体への負担
・閉経が早まる
AMH2.556という数値が高刺激に向いてるのか(39歳で卵子の老化により、高刺激しても卵子が回収できる確率は増えるのか)
・採卵直前のE2がいつも低め
・20代多嚢胞性卵巣症候群、最近エコーに成熟せず小さい卵胞が複数

以上よろしくお願いします。

操レディスホスピタルの松原先生に伺いました。

操レディスホスピタル 松原 寛和 先生
名古屋市立大学卒業。操レディスホスピタルでは、生殖医療部門の統括部長として、主に不妊治療を担当。医学博士。日本産科婦人科学会専門医・指導医。日本生殖医学会 生殖医療専門医。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●カーネーションさんの場合、高刺激法を行うと体への負担はどの程度増える可能性があると考えられますか?

高刺激法でよくみられる副作用は卵巣過剰刺激症候群(OHSS)です。採卵後に卵巣が大きくなると同時に腹水が溜まり、腹部不快感や張り、嘔気、下痢などを起こします。カーネーションさんの場合はAMH値が2.556で異常高値ではないこと、OHSSは刺激法の工夫や予防薬の使用で症状の悪化を抑えることができることより、重症なOHSSを発症されるリスクは少ないと考えられます。

●一般的に、高刺激法により閉経が早まるといったリスクはあるのでしょうか?

高刺激法では本来排卵される予定のない、消えてしまうはずだった卵胞を育てる方法です。よって、排卵誘発剤を使用して減少する卵胞数と自然に減少する卵胞数は、あまり変わらないと考えられます。以上より、高刺激法により閉経が早まるリスクは少ないと思われます。

●カーネーションさんの「AMH2.556」という数値は、高刺激法に向いていると考えられますか?また、その年齢(39歳)や卵子の老化状況を考慮に入れた場合、高刺激法により卵子が回収できる確率は増える可能性があるのでしょうか?

AMH値2.556は高刺激法に向いていると考えられます。年齢を考慮しても卵子を10個程度回収できる可能性があると思われます。

●カーネーションさんの場合、採卵直前のE2がいつも低めであることが、高刺激法の成功率に影響を及ぼす可能性はありますか?

採卵直前のE2がいつも低めになる原因の一つとして未熟な卵胞が多いことが考えられます。このことが高刺激法で卵巣刺激を行う際に影響を及ぼす可能性があることは否定できないと思います。

●20代で多嚢胞性卵巣症候群の診断を受け、最近のエコーでは成熟せず小さい卵胞が複数見られたとのことですが、これらの状況が高刺激法の適応、または成功率に影響を及ぼす可能性はありますか?

多嚢胞性卵巣症候群でAMH値2.556の場合は高刺激法の適応になります。また、高刺激法では低刺激法の際に成熟しない小さな卵胞が大きくなる可能性があります。そして、発育卵胞数が増えれば回収できる成熟卵子も増える可能性が考えられますので、高刺激法を試される価値はあるかと思います。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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