【Q&A】ホルモン補充周期と自然周期~岩見先生【医師監修】

ひーさん (43歳) 
2023年2月に自然妊娠するも6週くらいで自然流産し、不妊治療は2024年4月から通院開始してます。

年齢も考え、体外受精にステップアップしましたが、比較的良好胚でも着床すらせず…。
また子宮内膜も厚くなりづらいようで、2回目の移植時は7.3mm程度でした。
現在、子宮内膜炎とフローラ検査結果待ちですが、次の移植の際に稀に自然周期の方が内膜が厚くなりやすい人もいるとの事でホルモン補充周期とどちらが良いか迷っています。

また私は子宮が普通より2回りくらい小さいと言われた事があり、卵管造影検査をする際にカテーテルが入りづらく、痛みが強いのと、カテーテルが留置できず、一度検査が中止になったり、今回の内膜炎とフローラ検査の際も痛みが強すぎて麻酔をしたくらいです。
実際調べてみると麻酔をする程ではないとの事ですが、私のような人もいるのでしょうか?

私自身そこまで痛みに弱い方ではないと思うのですが、今後の妊活を行う上で何かデメリットがないかなど心配になります。
年齢的な事が大きいとは思いますが、今後の治療の方向性を決めていくのに何かヒントを頂きたく相談させていただきました。

神谷レディースクリニックの岩見先生に聞いてきました

神谷レディースクリニック 岩見 菜々子 先生
札幌医科大学卒業。2014 年より神谷レディースクリニック勤務。日本生殖医学会生殖医療専門医。日本産科婦人科学会認定専門医。日本抗加齢医学会専門医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●ひーさんの子宮内膜が厚くなりにくい原因について、何か考えられる要因はありますか?

まずは移植時の内膜が7mm以上ありますので、必ずしも薄いと判断することはないと思います。当院のこれまでのデータでは、内膜厚が7mm以上ある場合の人では妊娠成績は変わりませんでした。

●ひーさんの場合、ホルモン補充周期と自然周期、どちらが移植の成功率を高める可能性が高いと考えられますか?

ホルモン補充周期で妊娠成立したことがない場合には、自然妊娠した既往もありますので自然周期での移植を試してみる価値はあると思います。基本的にはホルモン周期も自然周期も妊娠率は変わらないとする報告が多いものの、自然周期でなければ着床しにくい人もいる印象です。そのため人工的なホルモン周期で着床しない場合には自然周期も一つの選択肢であると思います。

 ●子宮が普通より小さいと診断されていることについて、不妊治療や妊活にどのような影響を及ぼす可能性がありますか?

子宮は左か右の単角子宮の人でも妊娠が成立します。普通の大きさの半分しかなくても妊娠は成立するため普通より小さめと言われていても子宮内膜の厚さが7mm以上ある場合には十分な大きさは兼ね備えていると判断して良いと思います。
小さい子宮であっても子宮腺筋症など他の合併症を有していない場合には妊娠期間中、子宮のサイズは妊娠週数に応じて成長していくと予想されます。

●ひーさんのように、検査の痛みが強いと感じる方は他にもいるのでしょうか? また、痛みを感じる原因とその対処法について先生の考えをお聞 かせください。

痛いの閾値には個人差があります。子宮の大きさだけではなく、子宮の方向性なども痛みに影響することがあります。
検査は痛みを伴うことが多いため当院では痛み止めの坐薬を推奨しています。それでも痛みが取れない場合には局所麻酔を併用することもあります。

●ひーさんの年齢を考慮した上で、今後の治療の方向性についてアドバイスをお願いします。

費用面で可能であればPGT-Aも選択肢となるのではないでしょうか。またTh1/Th2比は高くはありませんが、Th1単独ですとかなり高い値です。本採血を再検査してみるか移植の時にタクロリムスの内服を考慮しても良いかもしれません。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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