【Q&A】胚盤胞凍結出来ず、卵子が原因?~小川達之 先生【医師監修】

いくさん(34歳)

①精子の質について
1回目の体外受精の結果が悪く、2回目に向けて半年間体質改善など心がけてきました(夫は特に何か取り組みはしていません)。
転院もして2回目の体外受精を実施した結果、採卵数・受精数ともに劇的に改善しましたが、胚盤胞凍結まで至りませんでした。
受精卵3日目から成長が遅くなってしまったようなのですが、卵子だけでなく精子の質の問題と考えられますか?
また、当日は凍結精子を使用しました。
同じタイミングで射出した凍結精子がまだ残っていますが、次回以降も同じ精子を使って同じような結果にならないか不安があります。精子の質を改善して、採り直した方がいいでしょうか?
夫は出張が多いため、凍結精子を使う可能性が高いです。

②卵子の質について
半年間、体質改善を頑張ってきて、これ以上何ができるのか自分でもわかりません。
受精結果から、またまだ改善の余地があると考えられますか?
また、睡眠の質には満足できていないためメラトニンの摂取も考えていますが、抗酸化作用という点ではコエンザイムQ10と同じだと思います。両方服用しても問題ないでしょうか?

AMHについて
AMHが短期間で急激に低下しましたが、2回目の採卵ではAMHの割にたくさんの卵が採れたと感じています。
たまたま採血検査した時に、AMHが一時的に下がってしまっただけ、と考えられるのでしょうか?

亀田IVFクリニック幕張の小川達之先生にお伺いしました。

【医師監修】亀田IVFクリニック幕張 小川達之 先生
2009年山梨大学医学部卒業。2016年より山梨大学医学部附属病院産婦人科にて不妊治療にあたる。2024年4月より亀田IVFクリニック幕張に入職。ひとりひとり個別の状況に対応し、患者様の立場に立った医療を提供したいという想いを持って日々、診療に従事。医学博士。日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医。日本生殖医療学会生殖医療専門医・指導医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください
PGT-SRを予定するものの生検に至らず、身体的、精神的、そして経済的にも、大変苦労されていることと思います。
PGT-A/SRにはルーチンの顕微授精は不要と考えられますが、以前の採卵で正常受精率が低いのであれば凍結精子でなくとも顕微授精を勧められることはよくあると思います。
ロバートソン型転座を持つのが女性なのか男性なのかによって、その体外受精の成績が変化するという報告がいくつかあります。ある報告では、男性の場合に特に受精率が低く、胚盤胞到達率は女性の場合に低い可能性があるとされています。ただどうしても症例数が多くはないので、一貫した見解ではないことにご注意ください。確かに、初期胚の分割が順調にいかない場合、卵子の質を論じることが少なくありません。
コエンザイムQ10やメラトニンなどの抗酸化剤が有効である可能性はありますが、必ずしも全員に良い効果が出るとは限りません。上手くいかない時はあえてそういった「卵子の質の向上」をうたっているサプリメントを中止してみることで、かえって卵子の質が向上する可能性もあります。
もちろん調節卵巣刺激の薬剤の使用の仕方を変えてみることも有効である可能性があります。場合によっては、あえて低刺激にすることもあります。これまでの状況を踏まえて、次は何を変えるとうまくいく可能性があるのか、主治医とよく相談してみてください。
その周期の回収卵子数は、その周期のAFCの方がAMHよりも反映するという報告もあります。AMHの振れ幅が大きいようであれば、調節卵巣刺激開始時のAFCを頼りに回収卵子数を予測するのが良いかもしれません。

応援しています。

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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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