【Q&A】移植するには胚盤胞か分割期胚か~浅田先生【医師監修】

寧々さん (36歳)
今月初めて採卵をしましたが、残念な結果になってしまいました。
採れた卵子は6つ、その内の1つが未成熟卵でした。
5つの成熟卵を体外受精し、2前核胚を2つ培養したが、2つとも6日目の桑実胚までで成長が止まってしまいました。
今回は最初から胚盤胞まで培養することとなっていたので、2つとも廃棄されました。
治療中はゴナールエフの注射とクロミッドで卵胞を育てました。

相談したいことは、低AMHかつ1回目の採卵の場合、胚盤胞ではなく分割胚で移植した方がいいことがありますか?
妊娠する可能性はありますでしょうか?
第三者から見て、今回の卵巣刺激はあっていますか?
今後の治療において、自分の年齢とAMHの値を考えると、胚盤胞移植にこだわる必要はあるのでしょうか?
分割胚移植にしてもいいのでしょうか?顕微授精に切り替えるのはどうでしょうか?
胚盤胞ができるように、何かできることはありますでしょうか?

また、不妊治療の凍結・移植方法はどのように決められていますか?
培養した胚を見てから決めるのか、それともあらかじめ治療方針にて凍結・移植方法を決めるのでしょうか?

浅田先生に聞いてきました

【医師監修】浅田レディースクリニック 浅田義正 先生
名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

AMHが0.48ということは、卵巣刺激をしても多くの卵子を一度に採ることは難しいと思います帝王切開をされている傷痕に頸管粘液などが溜まるということがある場合、帝王切開の影響が考えられますが、一般的には帝王切開自体は不妊治療にあまり影響がありません。

今の保険診療では、conventional IVFという従来の精子を振りかける方法で受精卵ができなければ顕微授精、あるいは受精率が悪ければ顕微授精という考え方です。
この保険診療の考え方とは異なりますが、顕微授精の専門家として30年以上治療してきた私の経験では、高い技術があれば精子を振りかけるよりも顕微授精にした方が、常に平均して10~15%程度受精率が高いです。卵子の数が少なければ私は顕微授精を選択します。

移植に胚盤胞がよいか分割期胚がよいかですが、高齢になってきて胚盤胞到達率が低い場合は、分割期胚を移植に選ぶこともありますが、若く普通に胚盤胞ができる場合は特に分割期胚を移植する必要はありません。
胚盤胞到達率は治療施設の技術にも左右されます。半年前から育ち始めている原始卵胞は、AMHが低い場合数は少ないですが、それを最大限採れるよう適切に卵巣刺激をしているかが重要です。成熟卵を採って、さらに培養技術によって受精率も胚盤胞到達率も向上するため、成績は培養室の技術によるところが大きいものです。
このような技術が備わっている施設で治療されることがよいでしょう。胚を見て、胚が悪いからこうしようああしようというよりも、よい胚を作るということが不妊治療専門医の本来の役割ですから、できた胚のよしあしではなく、まずよい胚を作ることです。

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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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