7月から妊活を開始し、8月から基礎体温を記録していますが、体温グラフが不安定で、低温期と高温期がはっきりしません。また、生理不順もあり、妊娠できるか不安です。アプリでは8月15日が排卵日と表示されましたが、8月20日に婦人科で診察を受けたところ、「まだ排卵していない」と言われました。性交は排卵予想日付近やその後も行っていますが、自分の体に問題がないか心配です。このまま様子を見るべきか、検査を受けるべきか悩んでいます。
基礎体温が不安定になる理由について教えてください。
田中先生● 基礎体温とは起床してすぐの安静にした状態で測定する体温で、低温期と高温期の二相からなっており、女性ホルモンのバランスを反映します。基礎体温がガタガタで不安定になる主な理由としては、女性ホルモンの分泌が十分ではない可能性があります。女性ホルモンは脳からの指令と卵巣の連携でその分泌が変化し、排卵や生理が起こります。
MKさんのように生理不順で、低温期と高温期がわかりにくい場合は、女性ホルモンの分泌が不十分でバランスが崩れており、排卵時期が安定しない「排卵障害」や、高温期が短い「黄体機能不全」が原因と考えられます。
不安定な生理周期や排卵は、妊娠に影響しますか?
田中先生●生理周期が不安定で排卵の時期が不規則だと、基礎体温が不安定になり、性交のタイミングがわかりにくく、妊娠の機会を逃すことがあります。そもそも不安定になるのはホルモンの分泌が不十分であることが原因で、それにより未成熟な卵子が排卵されます。ホルモン検査や超音波検査で、排卵の時期や状況を正確に把握することが大切です。
アプリを利用した月経管理も有効ですが、予測に頼りすぎず、実際の体調の変化や医師の診察と併用することが望ましいです。アプリの排卵予測と検査結果が一致しないこともあるため、総合的に判断することが大切なのです。
今後、どのような治療や検査をすすめられますか?
田中先生●年齢や結婚期間などにもよりますが、婦人科(できれば不妊治療専門外来)をご夫婦で早めに受診されることをおすすめします。女性は超音波検査や卵巣の予備能をみるAMH(抗ミュラー管ホルモン)を含む血液検査を、男性は精液検査をしておくとよいと思います。生理不順や排卵時期が不安定な方は、軽い排卵誘発剤(飲み薬や注射薬)の使用も、ホルモン環境の改善のために有効です。
セルフケアとして、妊娠初期の胎児の健全な発育のため、妊活中より葉酸をサプリメントで摂取することが推奨されています。食事では不足しがちな栄養素(ビタミン、ミネラル、鉄分など)もサプリメントで併せて摂ると効果的です。何よりも規則正しい生活リズムや体を温めるバランスの良い食事、適度な運動を心がけましょう。これらは下半身の血流をうながし、ホルモンバランスを整え、妊娠に向けた体づくりをする助けになります。