生理不順で3ヶ月くらい生理が来ないこともあり、タイミングが取れないため第一子の時より通院しています。多嚢胞ぎみと言われていますが、クロミッドで排卵誘発できました。
第二子に向けた治療ではタイミング法を1年続けましたが結果が出ず(生化学妊娠1回のみ)、体外受精に移行しました。
胚盤胞3回移植するも結果が出ず、このままうまくいかないのではないかと不安です。私のようなケースでは今後の妊娠可能性はどの程度あるのでしょうか。
次の検査結果にもよりますが、うまくいかない原因は胚側でしょうか?それとも子宮側でしょうか?
経済的な限界もあるため、治療の長期化は避けたいです。できれば保険適用の範囲を希望していますが、難しい場合、自費診療の期間はできるだけ短縮したいです。今後どのような治療や検査をするべきでしょうか。
浅田先生に聞いてきました。

名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
AMHが4ng/ml以上6ng/ml未満なので、多嚢胞性卵巣症候群で間違いはないと思います。
移植を3回して妊娠されていないため、CD138や内膜培養、その他の反復着床不全の検査を受けるようですが、私は子宮の検査をしても結果は改善しないと考えています。
子宮が妊娠を調整しているわけではないため、これらの検査についてはESHRE(ヨーロッパの生殖医学会)でも“推奨しない”と発表されていますし、先進医療となっているERA検査・EMMA検査・ALICE検査も同様です。子宮が妊娠を調整していれば、子宮外妊娠はあり得ないですし、代理出産での妊娠も成立しないことになります。
現在、一番効果がある検査は「PGT-A検査」だと思います。染色体異常がない正倍数性と確認された胚盤胞を移植しても、妊娠率は移植当たり6~7割となり、あとの3~4割は遺伝子の問題になります。精子と卵子が結合して遺伝子が組み変わりますので、同じ両親から生まれた兄弟・姉妹でも遺伝子は少しずつ違います。
その上で世界的な平均となりますが、年齢が36歳であれば、十数個の卵子で1人の赤ちゃんが生まれると言われていますので、3回移植して結果がでなくても、何か特別な理由があるわけではありません。そしてそれを防ぐための有効な検査は現在PGT-A検査以外にありません。
ぴよさんは、保険適用で治療を希望されていますが、保険でPGT-A検査はできません。ただ、妊娠までの時間を短くして効率のよい治療を希望されるなら、PGT-A検査を受けることが一番の近道だと思います。その他の検査で、妊娠率を上げるエビデンスのある検査は今のところありませんので、是非PGT-A検査を検討してもらいたいです。
先にPGT-A検査の移植当たりの妊娠率が6~7割と言いましたが、高齢になってもこれは下がりません。ただ、高齢になると染色体異常の卵子が増え、染色体異常がない正倍数性の卵子が減りますので、若い時よりも多くの受精卵が必要となります。
多嚢胞性卵巣症候群の方の卵巣刺激は難しいので、レベルが高く安全に卵巣刺激、採卵ができる施設に転院し、治療されることが一番の時間短縮になると思います。
また、ビタミンDが低めでサプリメントを服用されていますが、ビタミンDを服用したからといって、妊娠率が高まるというエビデンスはありません。葉酸もそうですが、不妊治療のための服用ではなく、妊娠後の赤ちゃんの奇形予防に必要な栄養なので引き続き服用していただきたいです。ただ、妊娠率を上げるための食事やサプリメントと謳われているものにエビデンスはありません。
エビデンスの不確かな治療や検査等を勧めるクリニックでの治療はおすすめできません。