【Q&A】不妊治療中の夫婦生活について~林先生【医師監修】

KJさん(42歳)

不妊治療中の夫婦生活について「治療中、夫婦生活は控えた方が良い」という記述もあれば「影響ない」という記述もあります。私は心配なので、治療中は数年単位で一切夫婦生活を持たなくても構わないと思うのですが、本来は夫婦生活を行う中で子供を授かるものなのに、治療のために夫婦生活が皆無になるのも確かに矛盾しているようにも思います。
パートナーからは毎日のように求められ、医師からも特に指示はなく、内容的に質問もしにくく、どうすれば良いか分からず悩んでいます。パートナーからあまりに毎日求められ、断り続けることで関係が悪化しかねないとも思います。
8/3に採卵、8/6に新鮮胚移植を行い、8/16の妊娠判定でβhCGが5.6であったために「化学流産子宮外妊娠が疑われる。化学流産であれば8/22頃に生理が来るだろう」と言われました。
今回も妊娠不成立との判断だったために、妊娠判定当日夜の求めに応じたところ、生理予定日よりかなり早く翌日に出血があり、見たことないような塊が出て、下腹部にも痛みがあります。
もしかすると成長が遅かっただけで妊娠していたかも知れないのに、求めに応じてしまったために流産してしまったのではないかと心配しています。
今回、体外受精の移植2回目でしたが、体外受精を開始する前にタイミング法を試みていた際も、生理が遅れていたのに着床期に夫婦生活を持ったその日の夜にいつもと異なる出血があり、私の中では「着床していたのに夫婦生活を持ったために流産したのではないか」と思っています。
私はまた同じような後悔をしたくないので、もう夫婦生活を持ちたくないですが、パートナーは毎日、採卵当日でさえも求めてきます。これを拒み続けていると子供以前にパートナー解消となるのではないかと心配しています。
不妊治療中の夫婦生活はどのように持つのが良いのでしょうか。
治療中一切夫婦生活を持たない方が良い場合は、パートナーにどのように断れば良いのでしょうか。内容的に誰にも相談できず、パートナーも理解してくれず、毎回ひとりで後悔して、とても辛いです。

ウィメンズクリニックふじみ野の林先生にお聞きしました。

【医師監修】ウィメンズクリニックふじみ野 林 直樹 先生
1983年、東京大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療 センター(川越市)などを経て、現職。「体外受精、顕微授精も高いクオリティで対応していますが、できる限り自然に近い不妊治療をご提供したいと考えています。 患者さんはそれぞれお悩みも違いますから、どんなこと でもまずご相談を。時にはご要望に沿えず、厳しいこと を申し上げるかもしれませんが、常に患者さんにとって ベストな治療法をご一緒に見出したいと思っています」。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください
不妊治療中の夫婦生活については、とくに制限を設けるべきではありません。
ただし、治療のための精子提出日の前日に射精した場合、男性の中には治療当日の精子所見で精子数や液量がやや不足することがあるかもしれません。月経中は避けた方がよいと思いますが、タイミング療法中、人工授精治療周期はもちろんのこと体外受精治療の採卵周期、移植周期での夫婦生活は基本的には問題はありません。
男性の中には人工授精や体外受精の前1週間以上禁欲される方もおられますが、精液量や精子数は増えるかもしれませんが、精子の質が低下するので必要のない準備と考えます。

ご質問の、妊娠判定日や着床時期の夫婦生活については全く影響がないと考えます。不正出血を伴ったとしても、着床が阻害されたわけではなく、妊娠のために使用した黄体ホルモンの内服や膣製剤により充血した子宮膣部や膣粘膜からの擦過による出血であると想像されます。流産や化学妊娠の原因となることはありえません。
たしかにβhCG値からみると妊娠予後は厳しそうです。自然な流産過程での出血であると考えます。採卵当日はさすがに採卵に伴う腹痛もある中なので避けていただいたほうがよいかもしれません。

連日の夫婦生活が苦痛であるということであれば、ご主人とよく話し合って回数を控えていただくようお願いしてはいかがでしょうか。回数より、その分、質(愛情表現の深さ)重視でお願いしてはいかがでしょう。

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