【Q&A】内膜が厚くならない原因は手術?~小川達之 先生【医師監修】

もんさん(33歳)

2年前から不妊治療を始め、タイミング法をしながら検査をし、すぐに顕微授精にステップアップしました。
その時は2回採卵し、1回目は胚盤胞1個、2回目は胚盤胞1個、初期胚2個で、3回移植しましたが陰性でした。
内膜が厚くなりにくく、初めての移植の時は5回程キャンセルになってしまい、6回目でやっと6mmまで育ち移植しました。
今は病院を変え、胚盤胞7個凍結して移植周期に入りましたが、内膜が5mm程で2回キャンセルになっています。
過去に中絶経験がありますが、病院で隠してしまい、打ち明けられていません。子宮鏡検査をし、片方の卵管は塞がっていましたが、ほかはきれいで癒着等は言われてません。
中絶が原因で内膜が薄いのかと思いますが、それを再生することは難しいですか?

亀田IVFクリニック幕張の小川達之先生にお伺いしました。

【医師監修】亀田IVFクリニック幕張 小川達之 先生
2009年山梨大学医学部卒業。2016年より山梨大学医学部附属病院産婦人科にて不妊治療にあたる。2024年4月より亀田IVFクリニック幕張に入職。ひとりひとり個別の状況に対応し、患者様の立場に立った医療を提供したいという想いを持って日々、診療に従事。医学博士。日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医。日本生殖医療学会生殖医療専門医・指導医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください
子宮内膜が厚くなりにくい原因として人工妊娠中絶を含めた流産手術は大いに考えられます。
妊娠成立しない原因は子宮内膜の薄さに関連するかもしれませんし、染色体など胚側の原因も考えられます。決定的な原因の解明は不可能ですので、少しずつ手を替え品を替え、成功する方法を模索するしかありません。着床率を向上する可能性のある技術としては、保険診療ではアシステッドハッチングや高濃度ヒアルロン酸含有培養液の使用、先進医療ではSEET法、スクラッチ法、ERA検査などがあります。
タイミングからすぐに顕微授精にステップアップされたとのことですが、不妊要因に男性因子もあるのであれば、泌尿器科の生殖医療専門医の診察により精子側の改善を測ることで妊娠率の向上が期待できるかもしれません。

子宮内膜が薄いことは、非常に難しい問題です。例えば、エストロゲンの投与量を増やしたり、貼付剤だけでは厚くならなくても内服薬も併用すると厚くなる方もいます。ホルモン補充周期だと厚くならなくても、自然周期だと厚くなる方もいます。
自費診療ではPRP(あるいはPFC-FD)の子宮内投与も有効である可能性があります。生活の中でできることは、ビタミンEやアルギニンなどのサプリメントも良い可能性はあります。
また、病院の受診時には、過去の経過はぜひ全てお話ししていただくことが良いと思います。今回のご質問内容とは離れますが、後になってから「実は、、、」とお話しいただき、そういうことなら話が違う、治療方針も変わる、などということも医療現場では時々あります。一般の方が思っている以上に医療従事者は既往歴を重要と考えています。
主治医とよく相談して、納得のいく治療戦略をとってください。応援しています!
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