【Q&A】子宮奇形の手術を受けた方がいいですか?~高橋敬一先生【医師監修】

KFさん(34歳)

5月に子宮外妊娠をしてhCGが自然に下がり始めたため、完全に下がり切るまで定期的に血液検査をしていました。
ある通院日に主治医が休診だったため、同クリニックの別の先生にかかった際、「今回の移植が初めてではあったが子宮外妊娠/化学流産という結果にもなったし、次回移植前に、子宮奇形の治療として内視鏡での手術をした方が良い」と勧められました。子宮の内視鏡手術はその先生が主に担当されていることもあり、そうおっしゃったのもあったようです。
後日、主治医と相談したところ「エコーを見る限りは手術までの必要はないと考えていたが、その先生がそう言うなら。でも必要ないようにも思えるが…」といった歯切れの悪い反応で、「次回生理が始まったら2〜3日目に、3Dエコーを見てもらってから判断する」ということで相談が終わりました。
主治医は「エコー上では大きな問題となる形ではない」という所見で、「卵管造影検査では子宮全体の形が見えるように撮影されておらず、奇形の種類まで判別できない」とのことです。
ネットを見ると双角の場合は通常手術の必要性は低く、むしろ手術をすることで出産率が下がったというデータもあり、果たして先生の勧める通り内視鏡手術すべきなのか本当に迷っています。内視鏡とはいえ手術することで移植が延期されるのも懸念です。
3Dエコーは、内視鏡手術の必要性を判断できるまでの明確な判断材料が手に入るものでしょうか?
処置が必要な程度ではない奇形でも、妊娠後に出産までリスクがあるのは変わらないのであれば、手術してしまった方が良いかなとも思います。
上に書いた懸念などのデメリットより、メリットが上回るのかどうか、一度話に出たくらいで深く考えず手術してしまうべきか、やはり形や種類によっては慎重に判断すべきなのか、ご意見伺いたいです。

高橋敬一先生にお伺いしました。

【医師監修】高橋ウイメンズクリニック 高橋 敬一 先生
金沢大学医学部卒業。国立病院医療センター(現・国立国際医療研究センター)、虎の門病院を経て米国ワシントン大学に留学。1996年虎の門病院に復帰した後、1999年千葉市に不妊治療専門『高橋ウイメンズクリニック』を開院。2014年ベストドクター認定(ベストドクターズ社)。2022年10月に開院から累計で妊娠2万例を達成する。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

子宮奇形の対処方法が、医師の意見が分かれてお困りなのですね。具体的な写真を見ていないですし、これから3Dエコーをするので、ここでは一般論になります。

ざっくり言えば、双角子宮や弓状子宮は手術の対象にはなりません。中隔子宮は、流産を繰り返すならば手術の対象になります。したがって、現時点では、手術の対象にはならない状況だと推測します。その意味では、担当の医師と同じような意見です。子宮奇形と子宮外妊娠や化学的妊娠はあまり関係ないとされています。

今後の検査としては、3Dエコー、MRI、子宮卵管造影検査の再検査、などが必要でしょう。卵管膿瘍の手術をしているので、卵管は正常とは考えにくく、卵管水腫がないかどうかを再度確認する意味でも、子宮卵管造影の再検査をしてもよいと思います。これは子宮外妊娠とも関係しているのですね。

中隔子宮で流産を繰りかえすならば、中隔切除をすると、流産率は通常と同じ程度に低下します。しかし、流産していない場合には、手術はあまり勧められません。

医師の意見が異なることは珍しいことではありません。手術が得意な医師は手術を勧める傾向になります。したがって、担当医ともよく相談して、最終的にはご自身の決断により決まるのですね。

なお、痩せすぎのようです。これ以上は痩せないようにご注意ください。痩せすぎも妊娠率は下がります。頑張って下さいね。

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